カノンは、竜人侍女の鱗を眺める。
鱗は太陽の下でキラキラと反射して輝いていた。
(……きれい……)
自然と浮かんだ感情が、口を動かしていたらしい。
「……は?」
その3文字の口の動きを正確に読み取った竜人侍女が、虚をつかれた顔になる。
「……なにそれ、そういうのいいから……」
しかし下手なお世辞だと流そうとするも、カノンが嘘を言っているようには見えなくて。
「……っ、それより早く仕事始める」
ぶっきらぼうに言ってそっぽを向いたけれど、その口元はわずかに綻んでいた。
竜人侍女の名はニアと言った。外見からしてもカノンと変わらない年頃に見える少女だ。
最も竜人は人間よりかなり長寿であるため、実際の年齢差はもっとあるだろう。
基本的に無表情で、その態度はどこか素っ気ない。
そんなニアと今日の分の仕事を片付けていく。
2人だとやはりいつもより仕事が早く進む。
手伝いに来てくれたニアに感謝しながら、カノンは次の仕事、また次の仕事とせかせか働き続けた。
「……ねえ」
そんな時、また声がかかる。
「昼食の時間、とっくに過ぎてる。
いつになったら休憩をとるつもり?」
ニアの言葉に、キョトンとするカノン。
(昼食……? 休憩……?
そういえば、気にしたことがなかった)
いつでも3人分の仕事をこなすカノンは、ひと息つく間もない程忙しい。
カノンの事情を知らない人からは追加で仕事を頼まれることもあるから、カノンはずっと働き続けている。
そんなカノンから、昼食や休憩の概念は抜けていた。
(だって、神殿でもそんなのろくにとれたことがなかったから)
カノンの様子を見たニアが、訝しげな顔をする。
「……もしかして、今までずっとこうだった?
こんなにずっと働いて、昼食さえも食べてない?」
カノンは一瞬の逡巡の後に頷いた。
それを確認すると、ニアはため息をついて。
「……ちょっと来て」
そう言うとどこかへ歩き出したから、カノンは慌ててその後を追いかけた。
鱗は太陽の下でキラキラと反射して輝いていた。
(……きれい……)
自然と浮かんだ感情が、口を動かしていたらしい。
「……は?」
その3文字の口の動きを正確に読み取った竜人侍女が、虚をつかれた顔になる。
「……なにそれ、そういうのいいから……」
しかし下手なお世辞だと流そうとするも、カノンが嘘を言っているようには見えなくて。
「……っ、それより早く仕事始める」
ぶっきらぼうに言ってそっぽを向いたけれど、その口元はわずかに綻んでいた。
竜人侍女の名はニアと言った。外見からしてもカノンと変わらない年頃に見える少女だ。
最も竜人は人間よりかなり長寿であるため、実際の年齢差はもっとあるだろう。
基本的に無表情で、その態度はどこか素っ気ない。
そんなニアと今日の分の仕事を片付けていく。
2人だとやはりいつもより仕事が早く進む。
手伝いに来てくれたニアに感謝しながら、カノンは次の仕事、また次の仕事とせかせか働き続けた。
「……ねえ」
そんな時、また声がかかる。
「昼食の時間、とっくに過ぎてる。
いつになったら休憩をとるつもり?」
ニアの言葉に、キョトンとするカノン。
(昼食……? 休憩……?
そういえば、気にしたことがなかった)
いつでも3人分の仕事をこなすカノンは、ひと息つく間もない程忙しい。
カノンの事情を知らない人からは追加で仕事を頼まれることもあるから、カノンはずっと働き続けている。
そんなカノンから、昼食や休憩の概念は抜けていた。
(だって、神殿でもそんなのろくにとれたことがなかったから)
カノンの様子を見たニアが、訝しげな顔をする。
「……もしかして、今までずっとこうだった?
こんなにずっと働いて、昼食さえも食べてない?」
カノンは一瞬の逡巡の後に頷いた。
それを確認すると、ニアはため息をついて。
「……ちょっと来て」
そう言うとどこかへ歩き出したから、カノンは慌ててその後を追いかけた。

