竜人の中には、土・水・火・風・雷―――通称5属性と呼ばれる力を扱える者がいる。
それは小規模な炎や水を扱う程の力であったり、天地を揺るがす程の力であったり、
その力には差があれど、いずれも強力であることに変わりはない。
しかしこの力が宿るのは、竜人の中でも限られたものだけ。
そして竜人1人につき、使えるのは1属性のみ。
こうした“属性持ち“と呼ばれる竜人は、国を支える者としてより敬われる存在だった。
だから目の前の男は、本来カノンのような身分が気軽に相対していい相手ではないはずだ。
「よし、俺も手伝おう」
(え、えええ……!?)
しかし男はそう言って、躊躇いもなく茂みに突っ込んでいく。
まさか、身分ある人にそんなことはさせられない。
焦るカノンをよそに、男は茂みと地面を弄りながら「ないな」とぼやいた。
「ならこうしよう」
男が地面に両手をついた。すると呼応するように、地面の土がポコポコと波打って波紋を広げていく。
(まさか、これも5属性の力……!?)
先程が5属性でいうところの“火“なら、これは“土“だろうか。
2属性以上を使える竜人なんて、普通はありえない。
けれど―――次代竜王・ギルバート。
歴代最強と謳われるその人は、複数の属性を使うことができるのだと聞いたことがあった。
まさか、目の前のこの人は―――
(……次代竜王・ギルバート様……?)
それは小規模な炎や水を扱う程の力であったり、天地を揺るがす程の力であったり、
その力には差があれど、いずれも強力であることに変わりはない。
しかしこの力が宿るのは、竜人の中でも限られたものだけ。
そして竜人1人につき、使えるのは1属性のみ。
こうした“属性持ち“と呼ばれる竜人は、国を支える者としてより敬われる存在だった。
だから目の前の男は、本来カノンのような身分が気軽に相対していい相手ではないはずだ。
「よし、俺も手伝おう」
(え、えええ……!?)
しかし男はそう言って、躊躇いもなく茂みに突っ込んでいく。
まさか、身分ある人にそんなことはさせられない。
焦るカノンをよそに、男は茂みと地面を弄りながら「ないな」とぼやいた。
「ならこうしよう」
男が地面に両手をついた。すると呼応するように、地面の土がポコポコと波打って波紋を広げていく。
(まさか、これも5属性の力……!?)
先程が5属性でいうところの“火“なら、これは“土“だろうか。
2属性以上を使える竜人なんて、普通はありえない。
けれど―――次代竜王・ギルバート。
歴代最強と謳われるその人は、複数の属性を使うことができるのだと聞いたことがあった。
まさか、目の前のこの人は―――
(……次代竜王・ギルバート様……?)

