その日以降、カノンは歌うことはおろか一切声を出すことができなくなった。
「両親を失ったことによる精神的なショック」医者からはそう診断された。
その頃のカノンは、文字を読むことはできても書くことはまだできなかったから、
声を失うきっかけがルーシーの言動であることを誰かに伝えることはできなかったし、そんな気力もなかった。
ルーシーは、表ではそんなカノンを心配し労る素振りを見せながら
「あんたのせいで両親が死んだ」「呪われた歌声」「人殺し」
部屋では毎夜のように、カノンにそう囁き続けた。
そのせいで、カノンは毎日自分を責め続けた。
血だらけの両親が、自分を睨みながら「あなたのせいで」そう責め立ててくる―――そんな悪夢を見ることも一度や二度じゃなかった。
「あくまで一時的なもの」そう医者に言われたはずのカノンの声が、戻ることはなかった。
当初の頃はカノンを見守る姿勢をとっていた神官長も「とんだ見込み違いだったな」
そう失望をあらわにして、カノンに見切りをつけた。
それを皮切りに、カノンは周囲からどんどん孤立していった。
遠巻きにされながら、まるでいない者のように扱われる日々。
「いい気味。私ね、ずっとあんたのそういう姿が見たかったの。
ねえ、もっともっと不幸になって?」
そんなカノンを見て、ルーシーは満足そうに笑っていた。
「両親を失ったことによる精神的なショック」医者からはそう診断された。
その頃のカノンは、文字を読むことはできても書くことはまだできなかったから、
声を失うきっかけがルーシーの言動であることを誰かに伝えることはできなかったし、そんな気力もなかった。
ルーシーは、表ではそんなカノンを心配し労る素振りを見せながら
「あんたのせいで両親が死んだ」「呪われた歌声」「人殺し」
部屋では毎夜のように、カノンにそう囁き続けた。
そのせいで、カノンは毎日自分を責め続けた。
血だらけの両親が、自分を睨みながら「あなたのせいで」そう責め立ててくる―――そんな悪夢を見ることも一度や二度じゃなかった。
「あくまで一時的なもの」そう医者に言われたはずのカノンの声が、戻ることはなかった。
当初の頃はカノンを見守る姿勢をとっていた神官長も「とんだ見込み違いだったな」
そう失望をあらわにして、カノンに見切りをつけた。
それを皮切りに、カノンは周囲からどんどん孤立していった。
遠巻きにされながら、まるでいない者のように扱われる日々。
「いい気味。私ね、ずっとあんたのそういう姿が見たかったの。
ねえ、もっともっと不幸になって?」
そんなカノンを見て、ルーシーは満足そうに笑っていた。

