公務のあるギルバートと別れ、部屋に戻るため廊下を歩くカノン。
もう終わったことだ。
そう思っても、先ほどのルーシーを思い出しては気分が沈む。
「カノン……じゃない、カノン様!」
そんなカノンの元にやってきたのは、マーガレットと、その恋人のレナードだった。
「私たち、あなたにお礼が言いたくて」
「カノン様のおかげで、俺は狂化から救われました。
本当に、ありがとうございました……!」
レナードが、そう深々と頭を下げる。
カノンはそんなレナードに尋ねる。
「もう、身体の方は大丈夫?」
「はい、もうすっかり良くなりました」
「よかった。
2人にはいつまでも一緒にいてほしいもの」
「カノン様……!」
マーガレットがガシッとカノンの両手を握る。
その瞳は感極まったように潤んでいた。
「……あの日、もうダメだって思った時……あなたの歌声が届いたの。
今まで聞いたどんな歌声よりも美しくて尊くて……まるで奇跡みたいだった。
そしてその奇跡みたいなあなたの歌が、私たちを救ってくれた。
愛する人を失わずに済んだ……」
「……マーガレット……」
「本当に、本当に……ありがとう……」
泣き笑いのように言うマーガレット。
そんなマーガレットの背中を、レナードがそっと支える。
そして2人は、溢れんばかりの賛辞をカノンに送る。
「―――私たちは、あなたが歌姫であることを誇りに思います」
(私の歌で救えた命が、確かにあった)
去っていく2人を見送りながら、改めて実感する。
込み上げてくる思いに目が潤んだ。
(この国で、私にできること……)
気づけば沈んでいた気分も、未来への希望へと変わっていた。
もう終わったことだ。
そう思っても、先ほどのルーシーを思い出しては気分が沈む。
「カノン……じゃない、カノン様!」
そんなカノンの元にやってきたのは、マーガレットと、その恋人のレナードだった。
「私たち、あなたにお礼が言いたくて」
「カノン様のおかげで、俺は狂化から救われました。
本当に、ありがとうございました……!」
レナードが、そう深々と頭を下げる。
カノンはそんなレナードに尋ねる。
「もう、身体の方は大丈夫?」
「はい、もうすっかり良くなりました」
「よかった。
2人にはいつまでも一緒にいてほしいもの」
「カノン様……!」
マーガレットがガシッとカノンの両手を握る。
その瞳は感極まったように潤んでいた。
「……あの日、もうダメだって思った時……あなたの歌声が届いたの。
今まで聞いたどんな歌声よりも美しくて尊くて……まるで奇跡みたいだった。
そしてその奇跡みたいなあなたの歌が、私たちを救ってくれた。
愛する人を失わずに済んだ……」
「……マーガレット……」
「本当に、本当に……ありがとう……」
泣き笑いのように言うマーガレット。
そんなマーガレットの背中を、レナードがそっと支える。
そして2人は、溢れんばかりの賛辞をカノンに送る。
「―――私たちは、あなたが歌姫であることを誇りに思います」
(私の歌で救えた命が、確かにあった)
去っていく2人を見送りながら、改めて実感する。
込み上げてくる思いに目が潤んだ。
(この国で、私にできること……)
気づけば沈んでいた気分も、未来への希望へと変わっていた。

