「団長!」
カノンが治療室の外に出ると、団長と呼ばれたその人に向かって周囲の騎士たちが一斉に頭を下げた。
「おう。様子はどうだ?」
強靭な肉体と強さを誇る、この国の“剣”―――騎士団長を務める男だ。
「かなりギリギリの状態です。
正直いつ暴走を始めてもおかしくないかと……」
部下の発言に、騎士団長は眉根を寄せる。
「……そうか。
俺たちゃギルバート様の言葉を信じているが……最悪の場合も想定しておかないとならねぇな」
(最悪の場合って、それはつまり……)
嫌な想像に頭を振る。
目の前であんなに苦しんでいる人がいたのに、何もできない自分の無力さが恨めしかった。
ギルバートは、自分が治療薬を持って帰ってくると言った。
カノンにはただ、その言葉を信じることしかできない。
その時、治療室の中から一際大きな破壊音が響き、中にいる騎士の1人が焦ったように叫ぶ。
「鎖が破られました!
もう限界です……!」
(……そんな……!)
「―――ギルバート様、戻られました!」
絶望的な状況の中、誰もが待ち望んでいた言葉が聞こえた。
こちらへ駆けてくる騎士が、そう叫びながら何かを掲げる。
「治療薬はここにあります……!」
カノンが治療室の外に出ると、団長と呼ばれたその人に向かって周囲の騎士たちが一斉に頭を下げた。
「おう。様子はどうだ?」
強靭な肉体と強さを誇る、この国の“剣”―――騎士団長を務める男だ。
「かなりギリギリの状態です。
正直いつ暴走を始めてもおかしくないかと……」
部下の発言に、騎士団長は眉根を寄せる。
「……そうか。
俺たちゃギルバート様の言葉を信じているが……最悪の場合も想定しておかないとならねぇな」
(最悪の場合って、それはつまり……)
嫌な想像に頭を振る。
目の前であんなに苦しんでいる人がいたのに、何もできない自分の無力さが恨めしかった。
ギルバートは、自分が治療薬を持って帰ってくると言った。
カノンにはただ、その言葉を信じることしかできない。
その時、治療室の中から一際大きな破壊音が響き、中にいる騎士の1人が焦ったように叫ぶ。
「鎖が破られました!
もう限界です……!」
(……そんな……!)
「―――ギルバート様、戻られました!」
絶望的な状況の中、誰もが待ち望んでいた言葉が聞こえた。
こちらへ駆けてくる騎士が、そう叫びながら何かを掲げる。
「治療薬はここにあります……!」

