戦いは熾烈を極めた。八島の体は傷だらけ、血が地面に滴る。ダズの炎が彼を焼き、キラの毒が彼を蝕む。だが、彼の意志は折れない。最後の力を振り絞り、八島はダズの胸に短剣を突き立てた。異形の悪神が咆哮を上げ、黒い血を吐きながら倒れる。
キラが叫び、八島に襲いかかる。彼の蔦が彼を絡め取ろうとするが、八島は霧を突き抜け、キラの心臓に短剣を突き刺した。緑の血が流れ、キラもまた倒れる。
黒い塔は静寂に包まれた。八島は膝をつき、荒々しく息を吐く。復讐は果たされた。だが、心は満たされない。彼女は戻らない。仲間も、島国も、動植物も、すべて失われたままだった。
彼は塔の外に出る。灰色の空の下、遠くに一筋の光が見えた。海の彼方、水平線に小さな希望が揺れる。八島は立ち上がり、歩み出す。復讐は終わった。だが、彼の人生はまだ終わらない。
「きっと、それは凪いだ時だ」と彼は呟く。風が止み、海が静まる瞬間を、彼は待ち続けるだろう。新しい日常を、取り戻すために。