再会した初恋の幼馴染との距離が近すぎて困ってます! ~離れて初めて気付く恋~


 ラーメンで身体が暖まり、だいぶ満足していた時。運転していた朝陽は、どこかのパーキングにエリアに車を進めた。

 まっすぐ帰るんだと思っていたから不思議に思っていると、早く降りろと言われてしまいその通りに。


「どこか行くの?」

「ちょっとだけ」


 ニマニマしつつ行き先を親指で示す。その先は、ひと際明るくなっている。

 二人で並んで歩き、すぐに視界に入ったものに驚いた。これは……


「イルミネーション。すげぇだろ」

「……やば」


 いくつもある大きなツリーが、電飾でライトアップされていた。色とりどりというわけではなく、白いツリーと金色のツリーが並び、何となく神秘的に感じる。

 真冬だったから寒くはあったけれど、さっきのラーメンでも暖まっているし、この場所も、どこか暖かく感じた。


「ちゃんと見たの、初めてかも」

「田舎じゃこんなもん見られなかったしな。上京してから忙しかった?」

「うん。こんなツリー見る余裕なんてなかった」

「ふぅん。じゃあ連れてきて正解だったな」


 テレビとか、SNSで見た時には、見に行きたいって思った。けれど、行く気にはなれなかった。きっかけがなかった、って言うのかな。でも、誰かに誘われたのなら行ったかもしれない。

 そういう人が、周りにいなかった。


「……私と来て、よかったの?」

「ん? 何で?」

「だってここ、デートスポットでしょ。勘違いする人とかいないの?」


 もし、朝陽に彼女がいたなら、幼馴染とはいえ、彼氏のいない女性とデートスポットに来ていた事がバレたら、最悪別れる事になるかもしれない。……まぁ、ウチに来て泊まっていった時点でアウトなんだろうけどさ。


「いないよ」


 けれど、きっぱりと、そう言ってきた。

 とても優しい声で、そう言ってきた。


「……」


 こんな事で、ホッとして、期待してる私は本当に馬鹿だ。

 けれど、期待したくもなる。

 そんな、優しい声で、優しい視線で言われたら。


「じゃあお前は? 俺、修羅場に巻き込まれたくないんだけど?」

「いないわ、アホ」


 いつものノリに任せて、そう言った。けれど……


「……そっか」


 そう言って笑ってくる朝陽に、つい目を背けてしまった。

 顔が熱いのは、耳が熱いのは、きっと冷えたせいだ。