「それいちご?」
「うん。いちごと、ベリーソース?」
「ひとくち貰いっ!」
「え……あぁ!」
がっしりと片方の手首を掴まれ、手に持っていたクレープにそのままかぶりついてきた。
「そっちにクレープあるじゃんっ!」
「チョコバナナはいい」
なら何でチョコバナナ買ったのよ。かごに入れたのお前だろ。アホか。じゃあ私が食べろって?
けれど、だいぶ心臓がバクバクしてる。いきなり頭が近づいてきたから、だいぶドキドキしてしまった。平常心を保とうとクレープを食べようとしたら、手が止まる。
……これ、間接キスになるよね。
いや、ほら、別に間接キスなんて日常茶飯事だったし? 別に今更何気にしてるのよ。普通でしょ、普通。
「パーティークエストがやりたくてさぁ、これやった事ある? つってもお前ゲームならすぐ覚えるからいっか」
「……それだけの為に呼ばれたの? 私って」
「これ奢ってやったろ」
「安いわ。私の貴重な休日は高いんですけど」
「はいはい、昼飯美味いの作ります~」
そう。ただの、幼馴染。今までだって、ゲームがやりたいからって呼ばれた事が何回かあったじゃない。だから、別におかしなことは何もない。
そう言い聞かせ、残りのクレープを食べた。
「……だいぶ画質いいね」
「だろ? だから一人でやるのもったいないって思ってたんだよね」
「アンタ、ちゃんと友達いる?」
「ゲームで俺についてこれるのお前くらいだし。他の奴らには引かれた」
まぁ、そうでしょうね。ガチ勢だし。でもさ、私だいぶ久しぶりだからご期待に沿えるか分かりませんけど?



