「……おい、朝陽。何だこれ」
「ん? 1LDK」
「あ、そうですか……」
朝陽の家に着くと、うちよりもだいぶ広い部屋に辿り着いた。だいぶさっぱりした生活感のある部屋だ。うん、だいぶ生活感がある。
「ここ、母ちゃんが決めたんだよ。別にもっと家賃安いのでもいいって言ったのにさぁ。そしたら父ちゃんが参戦してきてこうなった」
「……で、この大きなテレビは?」
「それ、めっちゃ画質いいんだよね」
「……」
ゲームをやるためだけに買ったんだろうなぁ……しかもソファーまであるし。ほら、ゲーム機ある。きっと美和子さん達呆れてるだろうなぁ……
朝陽んちに行くのに色々と緊張とか不安要素もあったけれど、このテレビとゲーム機でいろいろと吹っ飛んだというか、何というか。
そもそも、コンビニスイーツ大人買いってところでもう呆れていたけれど。
朝陽はキッチンに向かうとお皿二枚とスプーンとフォークを持ってきた。テレビとソファーの間に置かれたローテーブルに置き、どんどんコンビニスイーツを並べていく。
「いや~楽しかった」
「こっちは恥ずかしかったわ。大の大人が何やってんだ」
「いいじゃん別に。高校ん時に喋ったじゃん。大人買いしたいって。でもそれやったら絶対に母ちゃん達に怒られるだろ? いない時に家で食ってもゴミ出てバレるし。けどもう大人なんだからやるに決まってるだろ」
「……」
よく覚えてたな、と呆れつつも、ソファーに座る朝陽の隣に腰を下ろした。
あぁ、確か、前に学校帰りにコンビニでカットケーキ買ってって家で食べたのバレて怒られたっけ。夕飯近いんだからって。懐かしいな。
あ、そういえば学校の購買でプリンと杏仁豆腐3つずつ買って食べた時もあったような。めっちゃお腹いっぱいになったのを覚えてる。
「真香どれ食う? 俺ショートケーキ貰うな」
「そのホイップ何?」
「これ? コーヒーゼリーだって」
「コーヒーゼリーはいいや。そのクレープちょうだい」
「ほれ」
それと、もう一つ思い出した。それは、高校に入学した時だった。部活、どうする? って喋った時。私は帰宅部にしようかなって言った時、朝陽も帰宅部にするって返してきた。
朝陽は運動神経は良い方だったから運動部に入るんだと思ってた。だから、いいの? って聞き返してしまった。その時朝陽は「帰宅部じゃなきゃ真香と寄り道出来ないじゃん」って言ってきた。
その時は、呆れただけだった。放課後家に遊びに行ってゲームしたし。家が近くだったこともあっていつも放課後は二人一緒に帰ってたけど、家でゲームをしたりと色々と楽しかったな。
今では良い思い出だ。けれど、高校生活最後の数ヶ月は、その時間がだいぶ苦しかったのはちゃんと覚えてる。



