そして、整理整頓していなかった部屋も一気に片付けた。押し入れに詰め込んだ、の間違いかもしれないけれど。けれどそんなに汚くしているわけじゃないから、うん、大丈夫。
「10畳?」
「うん、10畳間」
そんな話をしつつお皿片手に部屋に入ってきた朝陽はきょろきょろと部屋の中を見渡していた。いや、あまり見渡さないでほしいのだが。
お箸は私の分しかなく、申し訳なくはあるけれどコンビニ弁当を買った時についてきたお箸を取っておいたのを思い出し、それを使ってもらうことにした。私が、とも思ったけれど、そうすると私の箸を朝陽が使う事になる。
別にいい、と言ってくれた朝陽の言葉に甘えた。
「余ったのは見つけたタッパに入れておいたから、冷めたら冷蔵庫入れろよ。早めに食え」
「ありがとうございます、朝陽さんっ……!」
やばいな、救世主だ。これで明日の朝ご飯は豪華なものが食べられる。パンばっかりだったからなぁ。
それにしても、二人でご飯だなんて何年ぶりだろう。どっちの家も両親が共働きだから、私が朝陽の家でご馳走になったり、朝陽がウチに食べに来たり。あとは、バーベキュー?
二人で、となると遊びに行った時か放課後寄り道したくらい。
懐かしいな。
「うまっ」
「そ? ならよかった」
「料理男子最高」
「そんな大層なもんじゃないけど。ただ母ちゃんに叩き込まれただけだし」
美和子さん、さすがです。だからこんなに大量の野菜とかを送ってくるのか。
でも、これがあるなら食費は浮くし餓死する事もないか。食べきれるかは別として。
「みかんも持ってきたけどさ、みかんでメシ済ませるんだったら母ちゃんに言うからな」
「あの、それだけは……」
「はぁ、ならちゃんとバランス良く食え。三食写真こっちに送れ」
「えっ」
「返事」
「……」
「おい」
「……はい」
だいぶ鋭い眼光。さすがの私もこれには勝てない。いや、一番は美和子さんに告げ口される事が。そうなったら最後、ウチのお母さんが突撃してくる。それだけは、勘弁してほしい。
最悪ここに住むなんて言い出したら……最悪だ。私の楽園が一瞬にして消え去ってしまう。
それなら、朝陽に食事を監視された方がまだいい。毎日三回送らせていただきます。



