冷蔵庫開けるぞ~と言いながら開ける朝陽。けれど、焦った。冷蔵庫の中身、今何も……
「お前さぁ、ちゃんと食ってるのか?」
「今ちょうど空っぽになってたところです」
「本当に?」
「うん。けど、ちょっと、時間がない、と言いますか……」
「面倒くさい、の間違いだろ」
「……」
ぎろりと睨みつけてくる朝陽の視線が、痛かった。
さすがだ。私の事をよく分かっていらっしゃる。
「あの、美和子さん達には……」
「……はぁ、しょうがねぇな」
朝陽のご両親が知ったら、絶対にウチの両親の耳に入る。絶対に。それだけは阻止しないと、大変な事になる。
呆れ顔でため息を吐く朝陽に、向ける顔がなかった。
しょうがないな、と言いつつも冷蔵庫の前でしゃがんでいた朝陽が腰を上げた。
お前はこれを洗え、と段ボール箱の中にあった野菜をぽいぽい渡され、ご指示通りに作業した。ちらり、と朝陽を見ると、キッチンに置いていたビニール袋を開いていた。
中からは、お肉のパックが出てくる。さっき近くで買い物をしてきたらしい。もうここで食う気満々だな。
「包丁は……これか。まな板は?」
「これ」
「……お前、これなんだ」
「……さぁ?」
シンクの下の収納扉を開けた朝陽の視線の先にあったものは……カップ麺。はい、すみません。



