いろいろ嬉しい出来事が重なった恋桃はキャパオーバーになり放心状態のまま体育祭を終えました。※斗愛の可愛い発言のコマ入れる

そして――

司会「体育祭優勝は――青団!」
わぁっと歓声が沸く。

気づいた時には青団が優勝してました!!!!


〇学園祭全体の片付けinグラウンド

斗愛「ねぇ、桃ちゃん」
恋桃「とっ斗愛先輩!?」

学園祭全体の片付けでグラウンドにいたら、まさか斗愛から声をかけらる。
斗愛から声をかけられるのは本当にレアなので目を丸くする。しかも友達を雑談しているという話しかけづらい状態で。
友達は気を利かせてくれて「桃ちゃんの分もやっとくねー!」「ごゆっくり~」と言い残し斗愛と二人きりにする。

恋桃(あなたたち神ですか・・・!?)

恋桃「先輩、どうされました?」
斗愛「誰かに絡まれたってほんと?その、俺のファン(?)に」
恋桃「え?あぁ絡まれましたね」

恋桃(先輩に可愛いと思ってると言われたおかげでそんなこと脳の片隅に追いやられてましたけど)

斗愛は不安そうに恋桃の顔を覗き込む。

斗愛「大丈夫だった?俺に害がないから放置してたけどさっき桃ちゃんのこと言ってるの聞いて心配になって・・・」
恋桃「何も問題ありませんよ。めんどくさかったですが返り討ちにしましたので!」
斗愛「でも、前だって足引っ掛けられて転ばされてたし」※第1話参照
恋桃「え?あぁ、あれ!?あれもあの人たちの仕業だったんですか!?卑劣ですね!」

斗愛にずいっと詰め寄る。

恋桃「安心してください。先輩に直接アタックすることもできない人なんて恋桃の敵ではありませんし、それよりも恋桃は先輩と話せて幸せです♡」

斗愛を安心させるためにニコーっと笑うと、斗愛はホッと胸をなでおろした。でもまだ恋桃の様子を窺う。そんな斗愛を見かねて恋桃が控えめに言う。

恋桃「それでももし罪悪感が消えないのなら可愛いと言ってほしいです」

恋桃(なーんて、先輩のことだから今回も躱すはず。これで先輩がいつも通りになるなら万々歳です)

だが斗愛は恋桃の予想に反して、真っすぐ恋桃を見据えた。

斗愛「可愛いよ。桃ちゃんは可愛い」

その表情はいつになく真剣で、瞳は澄んでいて、吸い込まれるんじゃないかと錯覚するほど。

斗愛「・・・なのに、なんで俺なの?なんでそんなに俺が好きなの?」
恋桃「それ今聞きます!?」←びっくり
斗愛「え?」←ぽかんと

恋桃(先輩はこんなに素敵なのに、どうしてご自身に自信がないのでしょう。もしかして恋桃を試そうとしたことにも関係しているのかもしれません。しかし困りました。先輩の好きな所を語ろうにももうすぐ片づけが終わるので教室に戻らないといけません。残念ながら恋桃はそんな短時間でまとめられる自信がありません。
かくなる上は・・・!)←葛藤

恋桃「とても長くなるので今話すのはちょっと厳しいです。なので先輩!この後空いてますか!?」
斗愛「この後?クラスの打ち上げに行かないの?」
恋桃「行きません。友達はみんな彼氏と食べに行くらしいので。まぁ来年になれば変わるクラスより彼氏を優先したいのはよくわかります」
斗愛「なかなかたくましいグループだね」←クスリと笑う。
恋桃「そういうところが好きなんです!あっ、もしかして先輩は打ち上げに行かれます!?でしたらまた後日に・・・」
斗愛「ううん。めんどくさいから帰ろうとしてたとこ」
恋桃「先輩もなかなかの性格してますよね」
斗愛「そう?」

恋桃(普段きちんとしている先輩がクラスの打ち上げをめんどくさいと一蹴するとはこれぞギャップ・・・!)

恋桃「じゃあ恋桃と二人の打ち上げにしましょう!これはめんどくさくないですよね?」
斗愛「うん。楽しそうだね」

恋桃(先輩のお墨付きを頂いたということで、先輩と二人きりの打ち上げに行きます・・・!!)


〇靴箱

恋桃「先輩すみません!遅くなりました!!」←息を切らしながら走って斗愛の元へ
斗愛「いいよ。何かあったの?」
恋桃「友達に先輩と打ち上げに行くって言ったら髪をいじられまして・・・」

いつものツインテールに毛先を軽く巻いた程度からゆるふわなハーフツインテールに。

恋桃「どうですか先輩!今の恋桃も可愛いですか?」
斗愛「・・・可愛いよ。何回言わせたがるの?」
恋桃「たーくさんです♡」

何回聞いても先輩からの「可愛い」は恋桃の胸を射止めます。

今までの恋桃は「可愛い」と言われても「何を当然のことを言っているんでしょう・・・?」ぐらいにしか思っていなかったのですが、先輩に言われると天に昇るような気持ちになります。
頬が緩みえへへと声が漏れると先輩は珍しいものを見るような目で見てきました。
そんなに恋桃のニマニマした顔がレアでした??
確かに普段の恋桃はニコニコしてますもんね。

「じゃあ行こっか」
「はい!」


〇最近駅前にできた焼肉屋

ここは個室になっているので他の人と遭遇する確率が低い。クラスでの打ち上げは他のお店で行われるようなので問題なし。

恋桃「さぁ先輩!恋桃がじゃんじゃん焼くのでたくさん食べてください!」
斗愛「いやさすがに自分の分は自分で焼くよ」
恋桃「まぁまぁ遠慮なさらずに!」

早速焼けたお肉を斗愛の取り皿に置くと斗愛がそれをぱくりと食べた。

恋桃(何だか餌付けしているみたいです・・・)←へへへ、とニヤケながら

恋桃「先輩はどこの部位が好きですか?」
斗愛「俺はカルビかな。桃ちゃんは?」
恋桃「恋桃はタンが好きです!」
斗愛「あーレモンに合うよね」
恋桃「ですよね!」

気づかれると遠慮されかねないのでこっそり行動に移します。

恋桃「それで、なんで先輩のことが好きか、でしたよね」
斗愛「そう。正直そんなに好かれてる理由がよくわからなくて・・・」
恋桃「なるほど。ではお話させていただきましょう!なぜこんなに先輩のことが好きなのかを!!」←ギラッとした恋桃の顔を見て斗愛はなんかやばいかもと思った

このあと恋桃は少しずつお肉を食べながらも、ほとんどノンストップで語りまくった。
まずは改めて先輩に一目ぼれしたときのことをこと細やかに話し、それから先輩の容姿のすばらしさ、顔の端麗さや髪のつやはもちろんのこと、目元と唇にあるホクロのえちえちさ、爪の形に至るまで語り、次に内面の話に移った。優しいところ、言葉選びが可愛いところ、しれっと車道側を歩いてくれるところ、疑い深いところ、意外とめんどくさいとか言うところ・・・。
↑ざっくり流す

恋桃「それに先輩は私を否定しません」
斗愛「否定?」
恋桃「はい!この歳でツインテとか痛いだとかしつこく付きまとってきてうざいとか言わないじゃないですか」

恋桃「中学のときなんてほとんど話したこともないクラスの男子から『アレはない』とか影で言われてたんですよ!?そんなのこっちから願い下げです!!!」←プンスカする

恋桃「でも先輩はそうじゃない。それが恋桃にとって特別なんです!」

斗愛、少し考える素振りを見せて口を開く。

斗愛「・・・もしかしたら裏で言ってるかもよ?」
恋桃「でしたら田崎先輩たちが恋桃に友好的なはずありませんよ!」

斗愛、確かにと口ごもる。

恋桃「斗愛先輩の優しさに触れるたびに好きになって」

それからまた恋桃が語りだし、最後には恋桃の自己アピールが始まる。

恋桃「つまるところですね、先輩。恋桃と先輩は運命の糸で結ばれているんです」
斗愛「うん?」
恋桃「いいですか。恋桃の"恋"と斗愛先輩の"愛"を合わせると"恋愛"になるんです。つまりこれは恋桃たちで恋愛をしろという啓示なのです・・・!あっそうです、子供の名前は桃斗にしましょう!」
斗愛「こ、子供・・・?」←戸惑う

恋桃(!?!?や、やらかしました!ついいつも妄想していることまで言ってしまいましたがいきなりこんなことを言われてもドン引きしますよね!?これじゃあ映画のときの二の舞になってしまいます!!)

恋桃「あ、えと、これはですね、その、本来先輩にお話するつもりはなく、恋桃の内に秘めておくつもりでして・・・えっと」←大焦り
斗愛「つまり考えていたんだね」
恋桃「・・・・・・はい」

恋桃(ああああああ終わりました。でもそんなこと考えていたのは事実ですし・・・!!!先輩に嘘をつくなんて恋桃にはできません!!)

恋桃のあまりの焦りっぷりに斗愛が笑いだすり機嫌がすこぶる良さそうに笑うものだから何がそんなにお気に召したのかと恋桃は疑問に思う。

斗愛「桃ちゃんは本当に俺が好きなんだね」←戸惑ったものでも恋桃の告白を歯牙にもかけないものでもなくそれどころか嬉しそうに
恋桃「今すぐに籍を入れたいぐらい好きです!」
斗愛「直球」←またあははと声を上げて笑う

恋桃(そんなに笑う意味は分かりませんが、先輩が楽しそうならそれでいいです!!!)

斗愛はひとしきり笑い終わった後に切り出した。

斗愛「桃ちゃんって門限ある?」
恋桃「? 特にありません」

このときにはもう焼肉は食べ終えていて、あとは帰るだけ。

斗愛「そっか。じゃあこの近くに夜カフェがあるんだけど行ってみない?」
恋桃「それって二次会ってことですか!?」
斗愛「まぁそうじゃない?」
恋桃「行きます!絶対に行きます!」
斗愛「そういうと思った」

恋桃の勢いが面白かった斗愛はまた笑った。


〇19時からオープンしている淡色カフェ
店内には社会人女性や大学生カップルなどがいて大人な雰囲気。

斗愛はブラックコーヒー、恋桃はカフェラテを注文。

斗愛「いきなりこんな提案したけど、本当によかった?ほら、家遠いって言ってたし」

恋桃(な、なんと前にしれっと話したことを覚えていただいているとは・・・!)

恋桃「何も問題ありませんよ!明日は休日ですしね。恋桃は先輩と長く居られて幸せです。ですので誘ってくれてありがとうございました!!」
斗愛「ならよかった。ちょっと桃ちゃんに話したいことがあったんだ」
恋桃「話したいこと、ですか」
斗愛「そう」

注文した飲み物が届いたところで斗愛がゆっくりと話し始めた。

斗愛「俺今まで小動物に対してぐらいしか可愛いって思ったことがなかったんだよね」
恋桃「と、いうと・・・?」
斗愛「だから人を可愛いと思ったのは、桃ちゃんが初めてなんだよ」
恋桃「え・・・」

恋桃(恋桃が、初めて・・・・・)

じーんと恋桃の心が温かくなる。

恋桃(まさか先輩の貴重な初めてをまた頂けることになるとは・・・)

嬉しさと感動のあまり言葉を失う。

斗愛 「それだけ桃ちゃんは、俺にとって特別なんだと思うよ」
恋桃「斗愛先輩の・・・特別・・・・・・」←噛み締めるように

恋桃(なんて魅惑的な言葉なんでしょう。まるで先輩に「好き」だと伝えられたようです。ずっと気持ちを伝え続けてきましたが、今ほど成果を感じたことはありません)

「先輩、恋桃は先輩のことが大好きです」

気づいた時には斗愛への気持ちがあふれていた。
斗愛はいつもよりも優しく微笑んだ。

斗愛「知ってるよ。ありがとう」
恋桃「えへへ、急に言いたくなっちゃいました」
斗愛「・・・・・・・あーかわい」←無意識に口に出す
恋桃「へ、え、今、かわい、って、え」←頬紅潮
斗愛「ん?あぁ、急に言いたくなっちゃった」←こてん、と首を傾けながら

恋桃(それ恋桃が言ったセリフーーーーーーー!!!!!!!)←悶絶

恋桃「あのですね先輩!今は彼女になれるように頑張っていますが、恋桃の最終目標は同じお墓に入ることですからね!覚悟してくださいね!」
斗愛「本気?」
恋桃「めちゃくちゃ本気です」
斗愛「そっか。・・・じゃあ待っててくれる?」←おねだりするみたいに
恋桃「待つ、とは?」
斗愛「俺が答えを出すまで」

恋桃(答え?答え、答え・・・。そ、それってもしかして恋桃の告白に対するものですか!?というかそれをわざわざ言うということは恋桃のこと相当意識しているのでは!??)

恋桃「待ちます!待たせていただきます!!」
斗愛「はは、言ったね。言ったからには・・・・・俺を好きでいてね」
恋桃「はい!もちろんです!!」

満面の笑みでそう言い切ると斗愛は嬉しそうに笑いました。
その顔がどこか淋しそうに見えたのは気のせいじゃないです。
先輩にはまだ恋桃の知らない一面があるのかもしれません。
でもそれを無理やり聞き出そうとは思いません。先輩の嫌がることはしたくないので。
ですが先輩、その理由も待っていれば話してくれますか。
恋桃はお待ちしていますよ。
とにかく今の恋桃にできることは先輩が、答えを出すのを待ちつつ気持ちを伝え続けることのみです。
また明日からも斗愛先輩に好きになってもらえるように頑張りますね!!!
↑恋桃、モノローグ