先輩との初デートを終え、夏休みを迎えました。
まぁ高校の夏休みなんて補習という名の通常授業でガンガン進んでいくんですけどね。
それと同時進行で学園祭の準備が始まりました。
我が校では三日間開催され、一日目と二日目で文化祭、三日目に体育祭を行います。
そのため大忙しです。
団は各学年8組あるクラスをは赤、青、黄色、緑の4つに分けられます。
そしてなんと!
この度恋桃は先輩と同じ青団になることが出来ました!!
これも恋桃の普段の行いがいいからですね!さっすが!
↑説明
○放課後・帰り道
恋桃「それで、先輩は何の種目に出るんですか!?」
斗愛「もう当たり前のように隣にいるよね」
恋桃「え?嫌でしたか?」
斗愛「いや、もはやこれが当たり前になってきてびっくりしただけ」
恋桃「幸せなことですよね!」←えへへ、と笑いながら
斗愛「・・・そうだね」
恋桃「!!!」
恋桃(せ、せせ、先輩が肯定してくれました!今までは照れ隠しで華麗にかわされていたのに・・・!!)←嬉しくて目をキラキラさせる
恋桃(というか先輩はデート終わりから恋桃により優しくなったような気がします。これは勘違いじゃないと思います!)←鼻歌混じりに
斗愛「で、種目の話だったよね」
恋桃「そうです!」
斗愛「俺は選抜リレーと借り物競争に出るよ」
恋桃「選抜リレーですか!?先輩足速いんですね!素敵です!」
斗愛「平均よりちょっと速いだけだよ。さすがに運動部にはかなわないし」
恋桃「それでも凄いです!」
選抜リレーは種目の中で獲得できる点数が2番目に高い種目です。
それに出るなんて先輩は凄すぎます。
更に借り物競争に出るということは、借り物を探してきょろきょろする先輩を見ることが出来るってことですね!
絶対に可愛いじゃないですか。
恋桃「先輩が勝てるようにいろんなものを準備しておきますね!」
斗愛「そこまではしなくていいよ。そういう桃ちゃんは?」
恋桃「恋桃は障害物競走と応援合戦に出る予定です!」
応援合戦は各クラス男女6人が参加し、計36人で行います。
得点にはリレーほど関わりませんが、ビジュアルも重要視されるので注目度が高い種目となっています。
恋桃的には先輩にも出てほしかったですがリレーに出るなら仕方ないです。
それに先輩のかっこよさをこれ以上周知されるわけにはいきませんもんね。
誰が先輩を好きになろうが恋桃には関係ないですけどそのせいで先輩をとの時間が少なくなったら嫌ですし。
斗愛「そっか。じゃあちゃんと見ておかないとね」
恋桃「はい!ぜひ見惚れてくださいね!」
斗愛「それはどうかな」
恋桃「えっ、そこは肯定してくださいよ!先輩の恥ずかしがり屋さん!」
斗愛「何それ」
斗愛また笑い始める。それをほぅ、と見つめる恋桃。
恋桃(先輩の笑顔はいつ見てもかっこいいです・・・)
一歩近づいた気がしてもまだまだ先輩の気持ちをゲットするのは大変そうです。
恋桃(まぁ時間の問題でしょうけどね!!)←意気込む
○数日後・文化祭当日
『ただいまから学園祭初日、文化の部を開催します』
校内アナウンスを合図に文化祭が始まった。
恋桃のクラスは喫茶店でパンケーキを売る。
いつも着ている制服のスカートとは違い今日はタイトスカートを穿いている。
恋桃「いらっしゃいませー!喫茶店の最後尾はこちらですー!」←呼び込みしてる。
恋桃(先輩まだ来ませんね・・・。恋桃のシフトの時間を教えるときに割引券も渡したのできっと先輩が来てくれるはずなのに、もうすぐ恋桃のシフトに時間が終わってしまいます。もしかして何かあったのでしょうか?)←心配そうに
恋桃(あっ、もしかしてこれが俗にいう放置プレイですか!?わざわざそんなことしなくても恋桃は常に先輩のことを考えていますのに!)
斗愛「桃ちゃん」←後ろから声かける
恋桃「!! 先輩!お待ちしておりました!」
斗愛が来ただけで周りの雰囲気がぱぁっと明るくなる。斗愛の半歩後ろには2人の男子がいる。
恋桃「今日はご友人と一緒なんですね!初めまして佐々木恋桃といいます。いずれ斗愛先輩の彼女になるので以後お見知りおきを!」
そう言い切ると斗愛の友だちは驚きつつも笑い返した。
その様子をじーっと見る恋桃。
恋桃(今まで関わりがなかったので知りませんでしたが、皆さんなかなかの美形です。もちろん先輩が一番ですけど。ちょうど3人なのでアイドルグループにでもなればそれなりに売れそうです)
田崎「斗愛から聞いてた通りほんとにド直球だな」
子安「こんなに可愛いのに何で付き合ってあげないのー?」
斗愛「・・・言わない」← 若干気まずそうに眼をそらす。
恋桃(わっ、先輩方が恋桃の後押しをしてくれます。ナイスです)
○デコレーションされた恋桃の教室内
恋桃「斗愛先輩お待たせしました!こちらがプレーンパンケーキになります。特別においしくなる魔法でもかけてあげましょうか?」
斗愛「ありがとう。魔法がなくてもおいしそうだから遠慮しておくね」
恋桃「お褒め頂きありがとうございます。これ恋桃が作ったんです!」
斗愛、目を丸くする。恋桃、得意げ。
恋桃(ふふ、先輩驚いてますね)
照れ隠しで断るとあらかじめ分かっていたので先手を打たせていただきました。
恋桃(だましたような感じになりましたがおいしそうと褒めたので内心浮かれています!!)
田崎「なかなか強かだよな桃ちゃんって」
子安「斗愛が断るなら代わりに僕のに魔法かけてよー」
恋桃「恋桃は斗愛先輩にあげる言葉しか持ち合わせてないのでごめんなさい。他をあたってください!」
子安「わぁ流石ー」
ちなみに男性らしい口調の方が田崎(たざき)先輩で語尾を伸ばしがちな方が子安(こやす)先輩です。さっき知りました。
↑恋桃、説明
恋桃「ところで斗愛先輩。この後お暇でしょうか・・・?」
斗愛「一緒に回りたいってこと?今日は控えめだね」
恋桃「本音を言うならめちゃくちゃ一緒に回りたいんですけど今日はご友人と一緒なので、遠慮した方がいいのかなーと思いまして」
斗愛「桃ちゃんも遠慮するんだ」
恋桃「そりゃしますよ!?先輩、恋桃のことなんだと思ってるんですか!」
斗愛「ある意味弾丸」
恋桃「だ、弾丸・・・!?」
恋桃(それはいい意味で、なんですよね!?どう解釈すればいいんですか!?お二方は何で爆笑しているんですか!!?)※お二方=田崎と子安
斗愛「そう。いつも勢いがすごいから」
恋桃「え」
斗愛「あとこの後は暇だよ。こいつら彼女と回るらしいし」
恋桃「!!! じゃあ恋桃と回りましょう!」
恋桃(男友達を「こいつら」と少々雑にくくる先輩も好きです♡♡)
恋桃「絶対楽しませて見せますね!!!!」
そう宣言すると斗愛は期待してるよ、と微笑んだ。
○恋桃の教室前
斗愛「じゃ、また後で」
田崎「んー」
↑軽く挨拶して分かれるところ。
思い出したように「あ、そうだ」と子安が振り返る。
子安「斗愛はもともと桃ちゃんと回るためにここに来たんだよー」
恋桃「えっ」
田崎「なんかシフトギリギリに行ったらそのまま一緒に回れるとかも言っていたな」←子安の言葉に乗るように
恋桃「ええ!?」←赤面
斗愛「ちょっと桃ちゃんに余計な事吹き込むのやめてくれない?」←少し怒り気味
お、やべ。行こーぜなどと言って2人が退散。
恋桃「え、えっと、先輩・・・」←上目遣い。控えめに言う
斗愛「ん?」
恋桃「恋桃と回りたかったって本当ですか・・・?」
斗愛「それ答えなきゃダメ?」
恋桃「ダメです」
子安先輩と田崎先輩の口からは聞きましたが、やっぱり恋桃は斗愛先輩から聞きたいです!とじーっと見つめる。
斗愛「・・・ただ、時間ギリギリにいけば君が誘ってくれるかなって思っただけだよ」
恋桃「それは期待してたってことですか?」
斗愛「そうかもね」←ちょっと考える素振りを見せてから
恋桃(! 先輩が肯定してくれました!恋桃に誘うチャンスを作るためにわざわざそうするとは・・・!!)
恋桃(もしかして先輩、恋桃のこと結構好きになってきてません??)
調子に乗った恋桃はその勢いで踏み込んだことを聞く。
恋桃「もし恋桃が何も言わなかったらどうしてました?」
斗愛「どうもしないよ。桃ちゃんに気持ちはそこまでなんだってなるだけだよ」
恋桃「つまり恋桃を試したってことですか?」
斗愛「嫌いになった?」
恋桃「好きになりました!!!」
かぶせるようにそういうと斗愛は小さく噴き出した。
斗愛「はは、変なの」
恋桃「変じゃありませんよ!だってまた先輩の新たな一面が知れたんですよ?気持ちが強まらないわけありません!」
恋桃(それにしても先輩は案外疑い深いんですね。だったら今後一切疑われないように先輩に気持ちを伝え続けなければ・・・!!)
恋桃「先輩!恋桃は本当に先輩のことがだーい好きですからね!」
斗愛「うん知ってる」
恋桃「じゃあ何でわざわざ試すようなことを!?」
斗愛「何となく」
『何となく』ってお茶目な先輩も可愛くて好きです。
斗愛「・・・桃ちゃんはさ、人とすぐ仲良くなれるタイプ?」
恋桃「そうですね。その分一定数に嫌われますが」
斗愛「そうなの?」
恋桃「はい。ほら恋桃は可愛いじゃないですか。それで嫉妬されたり陰口を言われたりするんです。まぁどうでもいいですけど」
恋桃は自分を大切にしてくれる人のことが好きなので本当にどうでもいいです。
顔のいい人が顔がいいと自覚することの何がいけないのか恋桃には分かりません。
謙遜をして自分を下げるような人にはなりたくないです。
髪型もこの歳でツインテールだと馬鹿にされたりしますが恋桃に似合って可愛いですし。
斗愛「強いね」
恋桃「そこも恋桃のいいところなので!!」
ふふんと自慢げにいうと、斗愛は眩しいものを見たかのように目を伏せました。
斗愛「・・・田崎達ともあっという間に仲良くなったしね」
その言い方にどこか棘があるように感じた恋桃。
恋桃(もしかして、それは・・・、それは・・・・・!!!)
恋桃「嫉妬ですか!!?」
斗愛「違う・・・んじゃない?」
いつもの先輩とは違って歯切れが悪いです。
これは絶対何かあるやつです。
斗愛「ただ、桃ちゃんが二人にも懐いているみたいで面白くないなーって思っただけ」
恋桃(それを人は嫉妬というんじゃないでしょうか!?!?)←そういっても照れ隠しで否定されると思うので口に出さなかった。
恋桃(先輩が妬いてくれたのかと思うとうれしいです!例えまだ恋愛感情からくるものじゃなくても、可愛い後輩だとは思ってくれてますよね!絶対!!)
恋桃「お二人は先輩のご友人なので親しみを感じただけですよ。先輩ありきです」
斗愛「ほんと?」
恋桃「ほんとです!恋桃が好きなのは先輩だけですからね!!!!」
先輩の心に響くように高々と言い切りました。
すると先輩は目をぱちぱちさせた後、ふっと笑いました。
斗愛「・・・うん、ごめんね。疑うようなこと言って」
恋桃「いえ、信じてもらえるまで想いを伝え続けるだけなので問題ないです」
斗愛「お詫びと言ってはなんだけど、屋台で何かおごるよ」
恋桃「いいんですか!?じゃあそこのから揚げでお願いします!」
斗愛「分かった」
出来立てのから揚げを受け取ると爪楊枝で刺して先輩の前に差し出しました。
恋桃「よろしければお一つどうぞ」
斗愛「えっいいの?」
恋桃「もとはと言えば先輩のお金ですし。はい、あーん♡」
恋桃(恋桃が何も考えずにから揚げを選んだと思いました?甘いですね!恋桃は常日頃どうすれば先輩と距離を縮められるか考えているんですよ!!)
じーっと見つめていると斗愛は恐る恐る恋桃の手をとって、から揚げをぱくりと食べられた。
咀嚼する様子や口についた油を見てはわわわわってなる。さらに手を掴まれたせいでデートの時手を繋いだことがフラッシュバックする。
斗愛「自分で言い出したのに顔真っ赤だね」
恋桃「せ、せ、しぇ・・・」
斗愛「しぇ?」
恋桃「先輩が悪いんですよ!!顔がいいし、手を掴んでくるし!!」
叫ぶようにそう訴える恋桃の言葉を聞いて先輩が口を押え笑い出しました。
斗愛「そっか。それじゃしょうがないね」
恋桃一拍開けてから声を上げる。
恋桃「え、今ご自身の顔の良さ認めませんでした?認めましたよね?自信家の先輩も素敵です!」
斗愛「はは、ありがと」
恋桃(あれ?でも前はそうじゃなかったはず。つまりちょっと恋桃のに似てきてません?好きな人には似てくるっていうんですよ?もしかしてもしかしなくても先輩、恋桃のこと好きですよね!?ねぇ!!?)
まぁ高校の夏休みなんて補習という名の通常授業でガンガン進んでいくんですけどね。
それと同時進行で学園祭の準備が始まりました。
我が校では三日間開催され、一日目と二日目で文化祭、三日目に体育祭を行います。
そのため大忙しです。
団は各学年8組あるクラスをは赤、青、黄色、緑の4つに分けられます。
そしてなんと!
この度恋桃は先輩と同じ青団になることが出来ました!!
これも恋桃の普段の行いがいいからですね!さっすが!
↑説明
○放課後・帰り道
恋桃「それで、先輩は何の種目に出るんですか!?」
斗愛「もう当たり前のように隣にいるよね」
恋桃「え?嫌でしたか?」
斗愛「いや、もはやこれが当たり前になってきてびっくりしただけ」
恋桃「幸せなことですよね!」←えへへ、と笑いながら
斗愛「・・・そうだね」
恋桃「!!!」
恋桃(せ、せせ、先輩が肯定してくれました!今までは照れ隠しで華麗にかわされていたのに・・・!!)←嬉しくて目をキラキラさせる
恋桃(というか先輩はデート終わりから恋桃により優しくなったような気がします。これは勘違いじゃないと思います!)←鼻歌混じりに
斗愛「で、種目の話だったよね」
恋桃「そうです!」
斗愛「俺は選抜リレーと借り物競争に出るよ」
恋桃「選抜リレーですか!?先輩足速いんですね!素敵です!」
斗愛「平均よりちょっと速いだけだよ。さすがに運動部にはかなわないし」
恋桃「それでも凄いです!」
選抜リレーは種目の中で獲得できる点数が2番目に高い種目です。
それに出るなんて先輩は凄すぎます。
更に借り物競争に出るということは、借り物を探してきょろきょろする先輩を見ることが出来るってことですね!
絶対に可愛いじゃないですか。
恋桃「先輩が勝てるようにいろんなものを準備しておきますね!」
斗愛「そこまではしなくていいよ。そういう桃ちゃんは?」
恋桃「恋桃は障害物競走と応援合戦に出る予定です!」
応援合戦は各クラス男女6人が参加し、計36人で行います。
得点にはリレーほど関わりませんが、ビジュアルも重要視されるので注目度が高い種目となっています。
恋桃的には先輩にも出てほしかったですがリレーに出るなら仕方ないです。
それに先輩のかっこよさをこれ以上周知されるわけにはいきませんもんね。
誰が先輩を好きになろうが恋桃には関係ないですけどそのせいで先輩をとの時間が少なくなったら嫌ですし。
斗愛「そっか。じゃあちゃんと見ておかないとね」
恋桃「はい!ぜひ見惚れてくださいね!」
斗愛「それはどうかな」
恋桃「えっ、そこは肯定してくださいよ!先輩の恥ずかしがり屋さん!」
斗愛「何それ」
斗愛また笑い始める。それをほぅ、と見つめる恋桃。
恋桃(先輩の笑顔はいつ見てもかっこいいです・・・)
一歩近づいた気がしてもまだまだ先輩の気持ちをゲットするのは大変そうです。
恋桃(まぁ時間の問題でしょうけどね!!)←意気込む
○数日後・文化祭当日
『ただいまから学園祭初日、文化の部を開催します』
校内アナウンスを合図に文化祭が始まった。
恋桃のクラスは喫茶店でパンケーキを売る。
いつも着ている制服のスカートとは違い今日はタイトスカートを穿いている。
恋桃「いらっしゃいませー!喫茶店の最後尾はこちらですー!」←呼び込みしてる。
恋桃(先輩まだ来ませんね・・・。恋桃のシフトの時間を教えるときに割引券も渡したのできっと先輩が来てくれるはずなのに、もうすぐ恋桃のシフトに時間が終わってしまいます。もしかして何かあったのでしょうか?)←心配そうに
恋桃(あっ、もしかしてこれが俗にいう放置プレイですか!?わざわざそんなことしなくても恋桃は常に先輩のことを考えていますのに!)
斗愛「桃ちゃん」←後ろから声かける
恋桃「!! 先輩!お待ちしておりました!」
斗愛が来ただけで周りの雰囲気がぱぁっと明るくなる。斗愛の半歩後ろには2人の男子がいる。
恋桃「今日はご友人と一緒なんですね!初めまして佐々木恋桃といいます。いずれ斗愛先輩の彼女になるので以後お見知りおきを!」
そう言い切ると斗愛の友だちは驚きつつも笑い返した。
その様子をじーっと見る恋桃。
恋桃(今まで関わりがなかったので知りませんでしたが、皆さんなかなかの美形です。もちろん先輩が一番ですけど。ちょうど3人なのでアイドルグループにでもなればそれなりに売れそうです)
田崎「斗愛から聞いてた通りほんとにド直球だな」
子安「こんなに可愛いのに何で付き合ってあげないのー?」
斗愛「・・・言わない」← 若干気まずそうに眼をそらす。
恋桃(わっ、先輩方が恋桃の後押しをしてくれます。ナイスです)
○デコレーションされた恋桃の教室内
恋桃「斗愛先輩お待たせしました!こちらがプレーンパンケーキになります。特別においしくなる魔法でもかけてあげましょうか?」
斗愛「ありがとう。魔法がなくてもおいしそうだから遠慮しておくね」
恋桃「お褒め頂きありがとうございます。これ恋桃が作ったんです!」
斗愛、目を丸くする。恋桃、得意げ。
恋桃(ふふ、先輩驚いてますね)
照れ隠しで断るとあらかじめ分かっていたので先手を打たせていただきました。
恋桃(だましたような感じになりましたがおいしそうと褒めたので内心浮かれています!!)
田崎「なかなか強かだよな桃ちゃんって」
子安「斗愛が断るなら代わりに僕のに魔法かけてよー」
恋桃「恋桃は斗愛先輩にあげる言葉しか持ち合わせてないのでごめんなさい。他をあたってください!」
子安「わぁ流石ー」
ちなみに男性らしい口調の方が田崎(たざき)先輩で語尾を伸ばしがちな方が子安(こやす)先輩です。さっき知りました。
↑恋桃、説明
恋桃「ところで斗愛先輩。この後お暇でしょうか・・・?」
斗愛「一緒に回りたいってこと?今日は控えめだね」
恋桃「本音を言うならめちゃくちゃ一緒に回りたいんですけど今日はご友人と一緒なので、遠慮した方がいいのかなーと思いまして」
斗愛「桃ちゃんも遠慮するんだ」
恋桃「そりゃしますよ!?先輩、恋桃のことなんだと思ってるんですか!」
斗愛「ある意味弾丸」
恋桃「だ、弾丸・・・!?」
恋桃(それはいい意味で、なんですよね!?どう解釈すればいいんですか!?お二方は何で爆笑しているんですか!!?)※お二方=田崎と子安
斗愛「そう。いつも勢いがすごいから」
恋桃「え」
斗愛「あとこの後は暇だよ。こいつら彼女と回るらしいし」
恋桃「!!! じゃあ恋桃と回りましょう!」
恋桃(男友達を「こいつら」と少々雑にくくる先輩も好きです♡♡)
恋桃「絶対楽しませて見せますね!!!!」
そう宣言すると斗愛は期待してるよ、と微笑んだ。
○恋桃の教室前
斗愛「じゃ、また後で」
田崎「んー」
↑軽く挨拶して分かれるところ。
思い出したように「あ、そうだ」と子安が振り返る。
子安「斗愛はもともと桃ちゃんと回るためにここに来たんだよー」
恋桃「えっ」
田崎「なんかシフトギリギリに行ったらそのまま一緒に回れるとかも言っていたな」←子安の言葉に乗るように
恋桃「ええ!?」←赤面
斗愛「ちょっと桃ちゃんに余計な事吹き込むのやめてくれない?」←少し怒り気味
お、やべ。行こーぜなどと言って2人が退散。
恋桃「え、えっと、先輩・・・」←上目遣い。控えめに言う
斗愛「ん?」
恋桃「恋桃と回りたかったって本当ですか・・・?」
斗愛「それ答えなきゃダメ?」
恋桃「ダメです」
子安先輩と田崎先輩の口からは聞きましたが、やっぱり恋桃は斗愛先輩から聞きたいです!とじーっと見つめる。
斗愛「・・・ただ、時間ギリギリにいけば君が誘ってくれるかなって思っただけだよ」
恋桃「それは期待してたってことですか?」
斗愛「そうかもね」←ちょっと考える素振りを見せてから
恋桃(! 先輩が肯定してくれました!恋桃に誘うチャンスを作るためにわざわざそうするとは・・・!!)
恋桃(もしかして先輩、恋桃のこと結構好きになってきてません??)
調子に乗った恋桃はその勢いで踏み込んだことを聞く。
恋桃「もし恋桃が何も言わなかったらどうしてました?」
斗愛「どうもしないよ。桃ちゃんに気持ちはそこまでなんだってなるだけだよ」
恋桃「つまり恋桃を試したってことですか?」
斗愛「嫌いになった?」
恋桃「好きになりました!!!」
かぶせるようにそういうと斗愛は小さく噴き出した。
斗愛「はは、変なの」
恋桃「変じゃありませんよ!だってまた先輩の新たな一面が知れたんですよ?気持ちが強まらないわけありません!」
恋桃(それにしても先輩は案外疑い深いんですね。だったら今後一切疑われないように先輩に気持ちを伝え続けなければ・・・!!)
恋桃「先輩!恋桃は本当に先輩のことがだーい好きですからね!」
斗愛「うん知ってる」
恋桃「じゃあ何でわざわざ試すようなことを!?」
斗愛「何となく」
『何となく』ってお茶目な先輩も可愛くて好きです。
斗愛「・・・桃ちゃんはさ、人とすぐ仲良くなれるタイプ?」
恋桃「そうですね。その分一定数に嫌われますが」
斗愛「そうなの?」
恋桃「はい。ほら恋桃は可愛いじゃないですか。それで嫉妬されたり陰口を言われたりするんです。まぁどうでもいいですけど」
恋桃は自分を大切にしてくれる人のことが好きなので本当にどうでもいいです。
顔のいい人が顔がいいと自覚することの何がいけないのか恋桃には分かりません。
謙遜をして自分を下げるような人にはなりたくないです。
髪型もこの歳でツインテールだと馬鹿にされたりしますが恋桃に似合って可愛いですし。
斗愛「強いね」
恋桃「そこも恋桃のいいところなので!!」
ふふんと自慢げにいうと、斗愛は眩しいものを見たかのように目を伏せました。
斗愛「・・・田崎達ともあっという間に仲良くなったしね」
その言い方にどこか棘があるように感じた恋桃。
恋桃(もしかして、それは・・・、それは・・・・・!!!)
恋桃「嫉妬ですか!!?」
斗愛「違う・・・んじゃない?」
いつもの先輩とは違って歯切れが悪いです。
これは絶対何かあるやつです。
斗愛「ただ、桃ちゃんが二人にも懐いているみたいで面白くないなーって思っただけ」
恋桃(それを人は嫉妬というんじゃないでしょうか!?!?)←そういっても照れ隠しで否定されると思うので口に出さなかった。
恋桃(先輩が妬いてくれたのかと思うとうれしいです!例えまだ恋愛感情からくるものじゃなくても、可愛い後輩だとは思ってくれてますよね!絶対!!)
恋桃「お二人は先輩のご友人なので親しみを感じただけですよ。先輩ありきです」
斗愛「ほんと?」
恋桃「ほんとです!恋桃が好きなのは先輩だけですからね!!!!」
先輩の心に響くように高々と言い切りました。
すると先輩は目をぱちぱちさせた後、ふっと笑いました。
斗愛「・・・うん、ごめんね。疑うようなこと言って」
恋桃「いえ、信じてもらえるまで想いを伝え続けるだけなので問題ないです」
斗愛「お詫びと言ってはなんだけど、屋台で何かおごるよ」
恋桃「いいんですか!?じゃあそこのから揚げでお願いします!」
斗愛「分かった」
出来立てのから揚げを受け取ると爪楊枝で刺して先輩の前に差し出しました。
恋桃「よろしければお一つどうぞ」
斗愛「えっいいの?」
恋桃「もとはと言えば先輩のお金ですし。はい、あーん♡」
恋桃(恋桃が何も考えずにから揚げを選んだと思いました?甘いですね!恋桃は常日頃どうすれば先輩と距離を縮められるか考えているんですよ!!)
じーっと見つめていると斗愛は恐る恐る恋桃の手をとって、から揚げをぱくりと食べられた。
咀嚼する様子や口についた油を見てはわわわわってなる。さらに手を掴まれたせいでデートの時手を繋いだことがフラッシュバックする。
斗愛「自分で言い出したのに顔真っ赤だね」
恋桃「せ、せ、しぇ・・・」
斗愛「しぇ?」
恋桃「先輩が悪いんですよ!!顔がいいし、手を掴んでくるし!!」
叫ぶようにそう訴える恋桃の言葉を聞いて先輩が口を押え笑い出しました。
斗愛「そっか。それじゃしょうがないね」
恋桃一拍開けてから声を上げる。
恋桃「え、今ご自身の顔の良さ認めませんでした?認めましたよね?自信家の先輩も素敵です!」
斗愛「はは、ありがと」
恋桃(あれ?でも前はそうじゃなかったはず。つまりちょっと恋桃のに似てきてません?好きな人には似てくるっていうんですよ?もしかしてもしかしなくても先輩、恋桃のこと好きですよね!?ねぇ!!?)



