「さあ。ドレスのしあげをしなくっちゃ」

 シュシュの部屋に入ると、そこには一着のドレスが飾られていました。

 ふんわりと広がるスカートがとてもかわいいドレスです。
 だけど、このドレスはまっしろでした。

「なかなか気に入る色が見つからなかったの。でも、これでだいじょうぶ!」

 シュシュがステッキをひとふりすれば、七つのジュエルはキラキラとかがやきながら宙をまいます。
 それからドレスのまわりをくるくると、おどるようにまわりました。

「わあ……っ!」

 ドレスは、みるみるジュエルのかがやきと同じ色に染まっていきます。

 いくつも重なったスカートのチュールがきれいに色づき、まるで虹をそのままドレスにしたような、七色のドレスができあがりました。

 空の青は、さわやかに。
 赤ときいろ、むらさきの花の色は、みずみずしく。
 みどり色にはこもれびの光が、きらめいています。
 夕やけの色は、やさしくておだやかで。
 夜の色の中には、星のまたたきがビーズのように光っていました。

 美しいドレスに、エマはうっとりとみとれました。

「さあ、つぎはエマのドレスをつくらなくっちゃ」
「ええっ?」

 シュシュのことばにエマはびっくり。

「だってエマはわたしのお友だちだもの。パーティーにもいっしょにでてほしいわ」

 シュシュはにこりと笑います。

「さあ、エマ。あなたはどんなドレスが着たい?」
「わたしは……」

 エマは、飾られている七色のドレスを見ます。

 こんなふうにすてきな色で、もしもドレスをつくるなら。
 どんなデザインのドレスをつくるでしょう?
 エマがいちばん使いたいのはどの色でしょうか?

 ドキドキしながら、エマはリュックの中からノートとペンをとり出します。
 エマの夢がたくさんつまった、大事なノート。
 新しいページにドレスのデザインを描くと、シュシュがニコッとうれしそうに笑います。

「エマ! とってもすてきだわ!」

 シュシュがステッキをふると、ノートのページから飛び出すようにして、エマのえがいたとおりのドレスが目の前にあらわれます。
 だけど色は、まっしろです。

「さあ、エマ。あなたの好きな色で染めてちょうだい」

 シュシュは七つのジュエルを、エマの手のひらにのせました。

 七色のかがやきが、エマの手の中できらめいています。