空へと目を向けたエマはびっくりしました。
 三角ぼうしをかぶった女の子が、ほうきにまたがって空に浮かんでいるのです。

 女の子はすいーっとほうきでとんできて、エマの目の前で止まります。

「こんにちは。わたしは魔女のシュシュよ」
「こ、こんにちは」
「そのジュエル、わたしの落とし物なの」

 シュシュは広げた手のひらをエマへと向けます。

 ジュエルとは、この星の形をした宝石のことでしょうか?
 
 エマは、はじめて出会った魔女におどろきながら、スカイブルーの宝石をシュシュの手のひらにのせました。
 
 シュシュは、クルンとカールした金色のかみをふたつに分けて結っている女の子でした。
 ピンク色のぱっちりしたひとみで、ジュエルをじいっと見つめています。

 そんなシュシュを、エマはドキドキしながら見ていました。

(わあ! なんておしゃれでかわいい子だろう……!)

 シュシュのぼうしは、やわらかなラベンダー色。小さな星のもようがいくつもちりばめられていて、キラキラと光っています。
 シュシュがはおるマントも同じ色で、こちらにも星のもようがきらめいています。
 ふわふわと広がる黒のスカートには、金色のすてきなししゅうがしてありました。
 
 じっとジュエルを見つめているピンクのひとみのとなりには、星がたのシールがきらめいていて、それもとってもみりょくてきです。

「ああ、よかった。キズがついてなくて」

 ほっとしたように言うシュシュに、エマは思い切って話しかけました。

「あ、あのね! わたし、エマっていうの」
「エマ。ありがとう、拾ってくれて。とっても大事な色だったの」

 にっこり笑うシュシュに、エマはこてんと首をかしげました。
 
「大事な、色?」
「そう。わたしはね、まほうの国のパーティーで着るドレスをつくっているの」

 まほうの国。
 パーティー。
 ドレス。

 すてきなことばに、エマの胸はドキドキと音を立てます。

「それでね、ドレスに使う色をあつめているのよ」

 まるでシュシュのことばに答えるように、その手の中でスカイブルーのジュエルが、ふわりとやさしく光ります。