壁の中の彼氏

「それならお母さんも一緒に行くわ。どうせ、挨拶に行こうと思ってたの」
  白くてピカピカ輝いている食器を丁寧に食器棚にしまって、母親がエプロンをはずす。
「今日は日曜日だよ? 先生いるの?」
「どうかな? わからないけど、行ってみよう」
  新しい家から学校までは徒歩で十分ほどの距離にある。
  バスや電車に乗る必要がないのは亜美にとって嬉しいことだった。
  通学ラッシュのときの満員電車は辟易してしまう。
  それがないだけでも十0点満点の家だと言えた。
  街の様子を眺めながら歩いていると、灰色の校舎が見えてきた。
  無骨な建物はどこの地域でもそれほど違いはないみたいだ。