壁の中の彼氏

  亜美たちが暮らしていたマンションは運悪く川の近くに経っており、1階の部屋はすべて浸水した。
  亜美たちは3階を借りていたから大事にはいたらなかったものの、さすがにもうそこで暮らすことはできなくなった。
  それでも最初は、中学を転校してしまうなんて考えてもいなかった。
  せいぜい同じ街の川から離れた場所に同じようなマンションを借りるのだろうと考えていたのだけれど、父親が思い切って一軒家の購入に踏み切ったのだ。
  この街では災害が少なく、今年の豪雨もまぬがれていた。
  その上立派な一軒家の中古物件が安く売りに出ていたので、これを逃す手はないと考えたみたいだ。