壁の中の彼氏

「だけどこのコンテストは完成していなくても参加可能だって!」
 つい、声が大きくなってしまう。
 コンテストの応募要項はちゃんと読んでいるのに、どうしてそんなことを言うのだろう。
「それじゃ受賞したとして、その後ちゃんと完結できるの?」
 優子からの質問に喉の奥に声がつまってでなくなってしまった。
 今まで何本でも作品を書き始めて、そして挫折してきた。
 完成させた作品よりも、中途半端になった作品の方が遥かに多い。
 その事実を思い出してしまったのだ。
「ちょっと、そんな事言わなくてもいいんじゃない?」
 見かねて友惠が口を挟んできた。
 優子を睨みつけている。