壁の中の彼氏

 亜美は友惠と共に部室を出て、図書室のベランダへと出た。
 大きく息を吸い込んで緊張をほぐす。
「その気持すごくわかる」
 友惠が亜美を見てクスクス笑う。
 この緊張感だけはどうあがいてもバレバレだ。
「私も最初そうだったよ。みんなに作品を読まれるのって、なんだかいてもたってもいられない気持ちになるよね」
「うん。早く読み終わってほしいって気持ちと、感想を聞くのが恐いから読み終わってほしくないって気持ちがある」
 亜美は正直に今の自分の心境を伝えた。
 すると友惠はまた声を出して笑う。
 友惠は文芸部に入ってから、こういう経験を積み重ねて慣れてきたんだろう。