壁の中の彼氏

 やっぱり、引っ越すことで一番気になっていたところだったんだろう。
 亜美は隣の席になった友惠のことや、友惠と同じ部活に入るかもしれないことを簡単に説明した。
 まだ登校初日だからなんとも言えないけれど、ひとまずは安心してくれたようだ。
 それから亜美は自分の部屋へ向かい、パソコンを立ち上げた。
 アミと約束してしまったから、書きかけの作品でも持っていく必要がある。
 亜美は普段からパソコンで書いているから、さっそく印刷をはじめた。
 長編小説の予定で書き始めて、また一万文字くらい書けたところだ。
 物語は全然進んでいない。
 こんなものしか見せるものがないことを、途端に恥ずかしくかんじた。