壁の中の彼氏

  半分まどろみの中にいた亜美は短く返事をする。
  途中途中休憩を挟んでここまで来たけれど、さすがに疲れが蓄積している。
  明日は月曜日だからさっそく新しい学校へ行かないといけないのが億劫だ。
  そんな事を考えてまた車窓の外を眺めていると、ふと何かが横切った。
  なんだろうと視線で追いかけて行くと、それは古ぼけた紙でヒラヒラと舞いながら用水路の中に落ちて行った。
  変色して茶色くなった紙には『探し人』と書かれていて、真ん中には男性らしき写真が印刷されている。
  まだ若そうに見えるけれど、写真の劣化のため細部まではわからない。