壁の中の彼氏

 行方不明者のSNSを扱っているとすればその肉親を想像することが多い。
 けれど今回SNSで反応を来れた友人を名乗る橋田だった。
 そのため、亜美たちも警戒心が強くなっていた。
「あぁ、それか。明人には肉親がいなかったんだ。親しい親戚もね」
「そうなんですか?」
 亜美の声が少しだけうわずる。
 両親や親戚がおらず、しかも人付き合いが希薄だとなると、なおさら創作届がすぐに出されたのがおかしいと感じられる。
「明人の両親は、明人を大学へ入れてすぐに事故で死んでしまったんだ。ふたりで出かけた先で、大型トラックに追突されてね」
 橋田が当時のことを思い出したように顔をしかめた。