壁の中の彼氏

 亜美がしどろもどろになったとき、友惠がはっきりと「作品の、勉強のためです」と言った。
 そんなこと言って橋田が気分を害さないだろうかと心配になったが、橋田は興味をそそられたようだ。
「作品?」
「はい。私達文芸部の生徒なんです」
「なるほど。それで奇妙な行方不明事件に興味を持ったってことか」
「不純な動機ですみません」
 亜美はすぐに頭を下げた。
 けれど橋田は頷いただけだった。
「こちらからも質問いいですか?」
亜美の言葉に橋田が「なんだい?」と首をかしげてくる。
 その物腰は柔らかいけれど、決して警戒してないようではなさそうだ。
「どうして飯島明人さんのSNSを使ってるんですか?」