壁の中の彼氏

 可憐な声が聞こえてきて右を向くと女子生徒が手を差し出してきていた。
 亜美は咄嗟的にその手を握り返す。
「私は瀬田友惠」
「わ、私は福田亜美」
「隣同士だからよろしくね。なにか困ったことがあったら何でも言って?」
 友惠の透き通るような肌につい見入ってしまいそうになりながら頷いた。
 こんなきれいな子に一番最初に話しかけられるなんて、なんてラッキーなんだろう。
 友惠の肩まである黒髪は艷やかで癖もなくまっすぐだ。
 亜美は自分のくせっ毛をつい指先でつまんだ。
 くせ毛だと短くするとまとまらないから、ずっと伸ばしている。
 ボブやショートカットがうやらましかった。