壁の中の彼氏

「ここが君の教室。これがネーム」
 教室に入ってから手渡された布製のネームを左胸につけると、今日からこのクラスの一員になるのだという気持ちが湧いてくる。
「ちゃんとした自己紹介はホームルームのときにするから、それまで先生と職員室で待機。いい?」
「はい、わかりました」
 なにせ引っ越しするのも転校するのも始めての経験だ。
 亜美は借りてきた猫のようにおとなしかったのだった。

☆☆☆

 先生のお陰で無事に自己紹介を終えた亜美は近著しながらも一番後ろの席に座った。
 その机には誰かのラクガキが残されていて思わず心がなごむ。
「はじめまして」