壁の中の彼氏

 父親の呟く声で少しだけ頭がハッキリして、 今はドキュメンタリー番組を見ているのだとわかった。
 舞台はこの街で、十年前に行方不明になった男性について報道されている。
 男性の顔写真が画面に大写しになったとき、  亜美は既視感を覚えて眉を寄せた。
 男性はニ0代前半で整った顔立ちをしている。
 面長の顔に太い眉はどこかで見た気がした。
 必死に記憶をたどるけれど、どこで見たのかはわからない。
 行方不明のその男性は飯島明人という名前らしく、背が高くて痩せ型らしい。
「この人、どこかで見たことがある気がする」
「似たような顔の人はいくらでもいるだろうからなぁ」