壁の中の彼氏

 けれどその日はもう男の声は聞こえてこなかったのだった。

☆☆☆

 アミが死んで、男も返事をしてくれなくなった。
 それでも亜美はまだ小説を書くためにパソコンの前に座る。
 画面に表示されているのは真っ白なページだ。
 一文字も書けていないし、ネタもなにも浮かんでこない。
 しばらく画面とにらめっこをしていた亜美だったが、やがて大きく息を吐いてずるずると寝そべるようにして床に寝転がった。
 胸の奥がひどく重たい。
 まるで鉛を飲みこんでしまったかのような、ひどい気分だ。
 テレビを見ていても音楽を聞いていて、大好きな本を読んでいても最近は集中することができなかった。