壁の中の彼氏

 優子は泣き叫ぶように言うと、ベランダから駆け出して行ってしまったのだった。

☆☆☆

全部あんたのせいじゃん!
 優子の悲痛な悲鳴が頭の中から離れてくれない。
 亜美は布団を頭までかぶってきつく目を閉じた。
 男がなにか話しかけてきているけれど、それも聞こえてこない。
 優子の言葉ばかりが脳内に反響している。
「ごめんなさい。そんなつもりじゃなかったの。ごめんなさい」
 何度謝っても頭の中に響く声は消えてくれない。
 どうして私は生きているんだろう。
 どうして受賞したのは私だったんだろう。
 ……自分で考えた作品でもないのに。

書かなくなる