壁の中の彼氏

  昨日道順を確認しておいたから中学校まで迷うことはなかったし、少し早く家を出たので他の生徒たちと鉢合わせもすることなく、たどり着いていた。
  そのまま来客用の入り口へ向かって、昨日と同じようにチャイムを鳴らす。
  出てきてくれたのは昨日の事務員さんではなく、白髪交じりの男性だった。
「やぁ、君が福田亜美さん?」
「は、はい」
  緊張して背筋が伸びる。
「僕は担任の大塚です。よろしく」
  にっこり微笑まれて少しだけ安心する。優しそうな先生で良かった。
  亜美は大塚先生に連れられて新しいシューズの音を響かせながらニ階へ向かった。
  ニ年A組と書かれたプレートの前で止まる。