壁の中の彼氏

 学校まで休んでいるとは思っていなくて亜美は困惑する。
「一応風邪をひいたって連絡は学校に来てるみたいだけど、本当はどうなのかわからない」
 優子はシャーペンを指先でクルクルと回しながら言った。
 ノートには小さな文字で小説のネタがびっしりと書かれている。
 優子は優子で頑張っているのがわかった。
「そっか。気になるから、なにか連絡があったら教えてくれる?」
「わかった」
 優子は素直に頷く。
 亜美が長編小説で受賞してから優子の態度は多少穏やかなものに変わっていた。
 アミの調子が振るわないことも原因のひとつかもしれない。
 部内でピリピリとした関係を築いていてもいい作品は生まれない。