壁の中の彼氏

 顧問からかしこまった紹介を受けて亜美は苦笑いで教卓に立った。
 みんなの目はキラキラと輝いている。
 羨望、憧れ、好意。
 くすぐったくなるような視線に目を伏せて「みんなに黙ってコンテストに参加してごめんなさい」と、頭を下げた。
 だけどそれを咎める人はどこにもいない。ただ、水臭いと肩を叩かれるだけだった。
 みんなの優しさが身にしみる。
「長編のコンテストに参加するのは始めてのことで、自信がなくて……だけどこうして受賞できてよかったです! 本当にありがとうございます!」
 簡単な挨拶と共にオレンジジュースで乾杯をした。
 受賞してもデビュー確約というわけではない。