壁の中の彼氏

  そのまま少し学校内を見学させてもらうと、亜美が通っていた中学校とあまり変わらないことがわかった。
「緊張する?」
帰り道にそう聞かれて亜美は「少しだけ」と、苦笑いを浮かべた。
  誰だって新しい場所は緊張する。
  新しい校舎に新しい教室に新しい友だち。
  不安と期待がないまぜになって、今の気持ちを伝えるのはとても難しそうだ。
  すでに太陽が傾きかけて新しい街で、亜美は胸を一杯に膨らませたのだった。