壁の中の彼氏

 こういう努力をするしないを比較する話は山ほどある。
「でもせっかく書いたんだ。なにか、コンテストに出すといい」
「え?」
 全部自分で書いた作品をコンテストに出すつもりなんて毛頭なかった。
 それで入賞記録が途絶えてしまうことは、目に見えている。
 亜美は絶対に嫌だと拒否した。
 男は困惑していたけれど、無理維持するわけでもなく、また面白いネタを亜美に提供してくれた。

☆☆☆

 それからも亜美は短編コンテストで何度も入賞を繰り返した。
 そのうち文芸界でも名前が知られるようになってきて、新聞の取材を受けるまでになった。
「すごいじゃないか。こんなに早く夢を叶えるなんて」