壁の中の彼氏

「今回はダメだったけれど、次は絶対に私は入賞する」
 強い口調で言うアミの目にはもう涙は浮かんでいなかった。
 亜美を見つめるその目には強い意思を感じられる。
 あるいは亜美も、男の力を借りること無くコンテストに参加していれば、アミのような強さを持つことができたんだろうか。
 そう考えたとき、亜美は素直に敗北を感じた。
「アミならきっと大丈夫だよ」
 心からの言葉をかける。
 一方の私はダメだ。きっと一人きりで戦う勇気すら持っていない。
 何度も入賞できるのは、いわずもなが男の存在があるからだ。
 アミと自分では根本的な強さが違う。
「そろそろ行くね」
 亜美は小さな声でそう言うと、ベランダを後にしたのだった。