壁の中の彼氏

紺色のスカートがひらひらと涼しげに揺れている。
 亜美がベランダに出てきたことに気がついて視線を向けたが、なんの反応も見せずに外の景色へと目を戻す。
 亜美はその隣に立った。
 ここから見えるのはもう見慣れてきた街並みばかりで、特に珍しいものはなにもない。
 そんな街をアミは睨みつけるようにして見つめている。
「綺麗な街だよね」
「無理に話題を見つける必要なんてないから」
 突っぱねるように言われて亜美は肩をすくめた。
 確かに、アミには同情とか遠回りな優しさは必要ないかもしれない。
「今回のコンテスト、私は運が良かっただけだと思う」
「なにそれ。自分は努力なんてしてないって言いたいの?」