「じゃあさ、桜田も一緒に来いよ!」
男子のひとりが、小春に気軽に声をかけてきた。
「え、わ、私?」
突然の誘いに小春が目を丸くしたその瞬間――
「こいつはいかねぇよ」
夏樹が間髪入れずに言い放った。
その声は氷のように冷たくて、男子たちは一瞬きょとんとする。
「えー、なんだよ。別に一緒に来ればいいじゃん」
「……こいつ送ってから行くわ」
夏樹は鞄を片手に持ち直し、当然のように小春の横に立った。
男子たちは顔を見合わせて、すぐににやにや笑う。
「はいはい、そういうことね! じゃあ先行ってっから!」
「七瀬、あとでグラウンド来いよー!」
軽口を叩きながら走り去っていく男子たちの背中を見送り、小春はぽかんと夏樹を見上げた。
「……なつくん、今の……」
「うるせぇ。早く歩け」
ぶっきらぼうに言い放ちながらも、夏樹の足取りは小春に合わせてゆっくりだった。
男子のひとりが、小春に気軽に声をかけてきた。
「え、わ、私?」
突然の誘いに小春が目を丸くしたその瞬間――
「こいつはいかねぇよ」
夏樹が間髪入れずに言い放った。
その声は氷のように冷たくて、男子たちは一瞬きょとんとする。
「えー、なんだよ。別に一緒に来ればいいじゃん」
「……こいつ送ってから行くわ」
夏樹は鞄を片手に持ち直し、当然のように小春の横に立った。
男子たちは顔を見合わせて、すぐににやにや笑う。
「はいはい、そういうことね! じゃあ先行ってっから!」
「七瀬、あとでグラウンド来いよー!」
軽口を叩きながら走り去っていく男子たちの背中を見送り、小春はぽかんと夏樹を見上げた。
「……なつくん、今の……」
「うるせぇ。早く歩け」
ぶっきらぼうに言い放ちながらも、夏樹の足取りは小春に合わせてゆっくりだった。

