集合場所の校門前は、朝の光で少し眩しかった。
キャリーケースのタイヤが転がる音と、クラスメイトの笑い声が入り混じっている。
修学旅行――いよいよ、この日が来た。
「おはよ、小春!」
凛が大きく手を振りながら走ってくる。
リュックを背負って、いつもより少し髪を巻いていた。
そのはしゃいだ笑顔につられて、私も自然と笑みがこぼれる。
「ちゃんと寝た? ほら、顔むくんでない?」
「ちょっとだけ寝坊したけど……たぶん平気」
「よし、ならオッケー!」
凛が肩を叩いた瞬間、背後から聞き慣れた声がした。
「……おい、小春」
振り返ると、夏樹が立っていた。
片手でキャリーを引きながら、少し眠たそうに頭をかいている。
寝ぐせのついた髪を無理に整えたせいで、いつもよりラフな印象だ。
心臓がどくんと跳ねる。
何か言おうとして、息が詰まった。
あの夜の涙、あの言葉――全部が一瞬で蘇る。
夏樹が、ゆっくりと口を開きかけた。
「小春、その――」
でも私は、反射的に顔をそらしてしまった。
見るのが怖かった。
目が合ったら、全部あふれ出してしまいそうで。
「……おはよ、凛。行こっか」
無理やり明るい声を出して、凛の腕を取る。
凛は一瞬きょとんとしたが、すぐに何も言わず頷いた。
背後で、夏樹が小さく息を吐く音が聞こえた気がした。
(……ごめん、なつくん)
心の中で小さく呟く。
本当は、話したかった。
でも、まだ勇気が出ない。
朝の光が差し込む校庭の中で、私たちは別々の方向へ歩き出した。
キャリーのタイヤがアスファルトを転がる音が、妙に遠く感じた。
キャリーケースのタイヤが転がる音と、クラスメイトの笑い声が入り混じっている。
修学旅行――いよいよ、この日が来た。
「おはよ、小春!」
凛が大きく手を振りながら走ってくる。
リュックを背負って、いつもより少し髪を巻いていた。
そのはしゃいだ笑顔につられて、私も自然と笑みがこぼれる。
「ちゃんと寝た? ほら、顔むくんでない?」
「ちょっとだけ寝坊したけど……たぶん平気」
「よし、ならオッケー!」
凛が肩を叩いた瞬間、背後から聞き慣れた声がした。
「……おい、小春」
振り返ると、夏樹が立っていた。
片手でキャリーを引きながら、少し眠たそうに頭をかいている。
寝ぐせのついた髪を無理に整えたせいで、いつもよりラフな印象だ。
心臓がどくんと跳ねる。
何か言おうとして、息が詰まった。
あの夜の涙、あの言葉――全部が一瞬で蘇る。
夏樹が、ゆっくりと口を開きかけた。
「小春、その――」
でも私は、反射的に顔をそらしてしまった。
見るのが怖かった。
目が合ったら、全部あふれ出してしまいそうで。
「……おはよ、凛。行こっか」
無理やり明るい声を出して、凛の腕を取る。
凛は一瞬きょとんとしたが、すぐに何も言わず頷いた。
背後で、夏樹が小さく息を吐く音が聞こえた気がした。
(……ごめん、なつくん)
心の中で小さく呟く。
本当は、話したかった。
でも、まだ勇気が出ない。
朝の光が差し込む校庭の中で、私たちは別々の方向へ歩き出した。
キャリーのタイヤがアスファルトを転がる音が、妙に遠く感じた。


