私たちは赤ちゃんの頃から一緒だった。
夏樹の母と私の母は幼馴染で、とても仲が良かったらしい。
同じ年に子どもができたことを知った二人は、顔を見合わせて大喜びしたそうだ。
でもーーーー。
走って駆けつけた病室。
いつもの温かい笑顔はそこにはなくて。
「ーー母さん!!母さん!!」
夏樹の母は、私たちが小学校五年生のときに、病気で亡くなった。
あの日。天気予報では晴れ予報だったのに、急に雨が降り出して、雷が鳴っていた。
夏樹の涙を見たのは、その一度きりだった。
あの日から私たちは、それまで以上に同じ時間を過ごした。
喋らなくとも、ただ、隣にいた。そうしたかった。
家が近所ということもあって、夜ご飯を食べに来ることも度々あった。
夏樹が玄関を出て行くと、小春はリビングのテーブルを見つめたまま、しばらく立ちすくむ。
箸やグラスの向こうに残る、夏樹の存在の大きさに、胸がぎゅっとなる。
(あの頃と変わらない……いや、もっとずっと、特別な気持ちにさせられる)
小春はため息交じりに背中を伸ばし、指先でテーブルの端をそっと撫でた。
その温かさを胸に、明日もまた、学校での彼のギャップに翻弄される自分を思い浮かべて、微笑んだ。
夏樹の母と私の母は幼馴染で、とても仲が良かったらしい。
同じ年に子どもができたことを知った二人は、顔を見合わせて大喜びしたそうだ。
でもーーーー。
走って駆けつけた病室。
いつもの温かい笑顔はそこにはなくて。
「ーー母さん!!母さん!!」
夏樹の母は、私たちが小学校五年生のときに、病気で亡くなった。
あの日。天気予報では晴れ予報だったのに、急に雨が降り出して、雷が鳴っていた。
夏樹の涙を見たのは、その一度きりだった。
あの日から私たちは、それまで以上に同じ時間を過ごした。
喋らなくとも、ただ、隣にいた。そうしたかった。
家が近所ということもあって、夜ご飯を食べに来ることも度々あった。
夏樹が玄関を出て行くと、小春はリビングのテーブルを見つめたまま、しばらく立ちすくむ。
箸やグラスの向こうに残る、夏樹の存在の大きさに、胸がぎゅっとなる。
(あの頃と変わらない……いや、もっとずっと、特別な気持ちにさせられる)
小春はため息交じりに背中を伸ばし、指先でテーブルの端をそっと撫でた。
その温かさを胸に、明日もまた、学校での彼のギャップに翻弄される自分を思い浮かべて、微笑んだ。

