反抗期の七瀬くんに溺愛される方法

 夜風がやわらかく頬をなでていく。
 街灯の下、手をつないで歩く小春の横顔は、何度見ても飽きなかった。

「ごめんね。高松さん、可愛いから、なつくんが取られそうで心配になっちゃった」

 その言葉に、思わず足を止めた。
 小春は下を向いたまま、少し唇を噛んでいる。
 頬がほんのり赤くなっていて、見ているこっちが照れそうになる。

 ――ああ、ほんと。
 俺はこの子の、こういうところにいつもやられる。

「心配すんな」
 そう言いながら、つい優しい声になる。

 けど、小春は納得してない顔で、ふくれたように言った。
「……でも、心配になるよ!亜美って…呼び捨てにしてるし」

 その瞬間、思わず笑ってしまった。
 そんなこと気にしてたのか。
 拗ねてる顔が、たまらなく可愛い。

「……一番かわいいのは、小春だから」

 正直、照れくさくて言うつもりじゃなかった。
 でも口が勝手に動いてた。

 小春が顔を上げて、ぱちっと目を見開く。
 その表情を見た瞬間、胸の奥がじんわり熱くなった。

 ――やっぱり、俺はこいつが好きなんだ。

 高松は、男子が好きそうなタイプだった。
 誰が見ても可愛いし、甘え上手で、明るくて気遣いが上手だ。
 でも――俺は違う。

 不器用で、強がりで、たまにものすごく素直な小春が、どうしようもなく愛おしく思う。

 小春より好きになれる人、なんて。
 『この先いるはずないだろ』

 「ん?何かいった?」
 「んーん、なんでもない」

俺はただ、隣にいる小春の手をぎゅっと握りしめていた。