ルリはバレリーナになりたい女の子。心のやさしい元気な子です。
 なのに、お父さんとお母さんは、「バレリーナになれるのはとくべつな人だけだよ」と、ほんきにしてくれません。
 「こまったなあ。ほんとうにバレリーナになりたいのになあ」と、ルリはしょんぼり。
 そんなある日、ルリはお庭でヒヨコをみつけました。
 金色のふわふわした羽毛に、キラキラしたブルーの目。
 みたことがないほどきれいでふしぎなヒヨコです。
 「たいへん!はねをケガしてる。今、手当てしてあげるね」
 ルリはケガをしてうごけないヒヨコを、そっと両手でだきあげておうちの中に入ります。
 「しみるけどがまんしてね」
 こわくて、ぶるぶるふるえているヒヨコに、ルリはやさしくはなしかけました。
 おくすりをつけて、ばんそうこうをはってあげます。
 それからルリは毎日、ヒヨコにお水とごはんをあげていっしょうけんめいにかんびょうしました。
 そんなある日、すっかりよくなったヒヨコがルリにいいました。
 「たすけてくれてありがとう!ぼくはピヨちゃんていうんだよ。よろしくね!」
 「わあっ!あなた、おはなしできるの?」
 いきなりおしゃべりしはじめたピヨちゃんに、ルリはびっくり。
 「うん!ピヨちゃんは、まほうの国のヒヨコなんだよ」
 「まほうの国?」
 ルリはますますおどろきました。
 「だからお礼に、ルリをまほうの国につれていってあげる!まほうの国では、なんでも願い事がかなうんだよ」
 「ほんとう?わたしバレリーナになりたいの!いく!ピヨちゃん、まほうの国につれていって!」
 「うん!こっちだよ!」
 ルリとピヨちゃんは、はりきっておうちをとびだしました。
 「まってぇ~、ピヨちゃん!」
 ルリはとてとてとはしっていく、ピヨちゃんをおいかけます。
 「ここがまほうの国の入り口だよ」
 ピヨちゃんはお庭の大きな石をくちばしで、つんつんとつつきました。
 「ここが入り口なの?」
 「うん!この石をどかして」
 ルリはいわれたとおりに、よいしょっとおもたい石をどかしました。
 するとパァっと白い光が目にとびこんできました。