覚悟を決めた夏、あの空の向こうに



 着ている服は水分を含んで重くなり、私を深い海底に引きずり込んでいく。

 船着き場は大型船が停泊するため、すごく深くて海底に足なんて届かないよ。


 呼吸ができなくて、すごく苦しい。

 体が自分の思うように動かない。

 プールの授業の時は遊んでばかりだったし、まじめに泳ぎの練習なんてしなかった。


 薄暗い海水の中で遠のく意識。

 確か、真央は岩場から落ちて溺れたんだよね。

 複雑に流れる海水の中で、体を雑巾みたいに捻じ曲げられながら、海中にのみこまれていった真央。

 息も出来ず海水を飲み込んで……そんな恐怖を体験したら、声がでなくなってもしかたないのかな……



 私はどうなるんだろう、このまま海の中で溺れてしまうの……

 生まれ故郷の父島で、命が尽きてしまうのなら……私は……



 ――その時



 海面に無数の泡と、ドボン!と何かが落ちる重い音が海中に響きわたった。

 その音と泡は、連鎖するように次々と発生してる。


 私は、遠くなる意識の中で海面を見上げた。



「みんな……」