すぐに近所の子供たちも近づいてきて、釣り客を囲んでザワザワしはじめた。
周りを子供に囲まれイライラし始める釣り客の男の人。
下ろされた釣り糸の先に魚はいるのかなと、私は岸壁に近づいて海面をのぞき込む。
その時、釣り客がイライラの限界を超え、大きい声でいきなり子供たちに向かって怒鳴りはじめた。
「うるせぞ!お前らっ!」
おどろいた子供たちは、逃げるようにその大人の周りから走り去ろうとする。
その中の一人の子が、あわてて逃げようとした弾みで私の体に思いっきりぶつかってきた。
岸壁ギリギリに立って海面を覗き見ていた私は……
そのまま、三メートル下の海に落ちてしまう。
「きゃぁぁぁぁーっ!」
悲鳴をあげながら落下していく私、海面に体が激しく接触して気が遠くなる。
プールへ飛び込んだ時に感じる衝撃の何倍もの痛さ、まるで壁にぶつかったような感覚だ。
冷たい海水の中で、右手を海面に向かって伸ばしてみたけど、誰も救いの手は差し伸べてくれない。



