「美央と一緒に、二人で見ようと思ってたのに……」
小声でブツブツ文句を言う賢斗くん。
「あら賢斗くんじゃない、お姉さんと花火みたくなって来たのかしら?」
「そうじゃねえから!」
すぐ否定した賢斗くんの横にいる私の姿が、律子さんには見えてないのかな。
でも、小声で話した言葉が聞こえたよ。
賢斗くんは私と二人で、花火を見たかったんだね……
「あらら、よく見たら美央さんもいるじゃないですか。なんで二人っきりなの?」
その言葉に、私はドキッとしてしまう。
賢斗くんは「どうでもいいだろ!」と不機嫌な表情で言い返してた。
などと、やり取りをしてるうちに、花火が終わってしまったみたい。
「この時期に打ち上げ花火って珍しかったのに、貴重な機会をこんな形で……」
島の人や観光客がたくさんいて、ザワザワしてるこの場所は、なんだか落ち着かない。
花火が打ちあがる夜空を見ながら、自分の思っている気持ちを伝えるって雰囲気じゃなさそう。
賢斗くんは私と一緒に、花火を目にして何かを話そうとしてたかもしれないけど……
今日はすごくたのしかったよ、ありがとうね、賢斗くん……



