「なにか言った?」
「いや、べつになんでもないけど!」
聞こえてたけど、知らない振りをしてしまう。
ごめんね賢斗くん、私は数日でこの島を離れていくのよ。
複雑な気持ちのまま、どうしていいか自分でも分からない。
「このまま盆踊り会場まで歩いてったら、終わってる時間かもな」
「それでもいいかなって、歩きながら賢斗くんとお話しもできるから」
「だよな」
お互いに笑顔を見せて、私たちは歩き始める。
盆踊り会場までの道中、たわいもない話で盛り上がった。
同じ歳で、幼少期を過ごしていた時間が長かった彼。
私の心は打ちとけて、なんだか心地いい気分。
雰囲気も悪くない。
そんな雰囲気の私と賢斗くんが、盆踊り会場に到着して見たものは……
お酒に酔って、寝込んで椅子に座る律子さんの姿だった……



