私が懐かしい思い出を振り返ってるのに、賢斗くんがレモネードジュースの瓶を胸にたくさん抱えて、外にいるみんなに配りはじめた。
「よく冷えてて美味いぞ!」
ちょっとまって、それって店の休憩スペースで販売してるジュースじゃないの!
などと思ってるあいだに、みんな飲みはじめちゃってる!
「いちおう、お客さんに売る店の商品だよね……お父さんに怒られないかな……」
私が不安そうな顔をしてると、真央がタブレットの画面を見せてきた。
子供は好きに飲んでいいって、お父さんに言われてるからだいじょうぶ。と書かれている。
「そうなの?」
真央は首を縦にふって頷いてる。
賢斗くんは家が近所だから、学校の帰りに店へ毎日のように顔を出して飲んでるらしい。
「なるほどね、だから自分の家の冷蔵庫みたいにしてるんだ……」
真央は首を縦に振って頷くだけで、店の物を好き勝手にしている賢斗くんに対して不快に思ってるわけではなさそう。
それどころか、おいしそうに笑顔でジュースを飲むみんなのことを、ほほ笑みながら見守ってる。



