「スマホ……海の上は圏外でつかえないよね」
心配して連絡をしてくると思うけど、ここは圏外なので通じない。
でも、行ってきます、と書いた手紙を食卓テーブルの上に置いてきてる。
私が小笠原諸島の父島に行きたいと言ったら、反対はしなかった。
でも、あまりいい顔はしてくれないまま私は家を……
父島は私の生まれ故郷なの……
「お父さんと真央に会いたいだけなのに、お母さんは……」
遠く離れて暮らす妹の真央とは一歳しか離れてない。
私が中学一年生で、妹は小学六年生。
お母さんと私が東京に住み始めてから、まったく顔を合わせてなかった。
最後に妹の真央を見たのは、父島の港にあるフェリー乗り場。
私が四歳、妹が三歳の時。
大人の事情で、どうしても姉妹で一緒に暮らし続けることが出来なかった。
お母さんと離婚したばかりのお父さん。
さびしそうな表情をして、私を見つめる真央。
その時を最後に、妹とは一度も会ってない……
「あの子、私のこと覚えてるかな……」
不安を胸に、私はミルクテイーを飲みながら遠くを見つめていた。



