声は聞こえないけど、なにかをつたえようと口を動かしてるのが想像できてしまう。
でも今は、目線を前に向けたまま私は歩き始めた。
私の歩調に合わせ、真央もゆっくりと歩き進める。
私はしっかりと手を繋いだまま、妹の横に並んで波打ち際に立つ。
月明かりに照らされた海面がキラキラと輝いて、すごく綺麗だ。
ほのかな潮風に、私と真央の髪がゆれている。
「ゆっくりと、一人じゃないからね……」
私たちはそろって、右足を一緒に海水へつけた。
続いて左足。
ひんやり冷たい海水を肌に感じながら浅瀬をゆっくり歩き進んでいく。
「だいじょうぶ?」
「……」
真央は無言でうなずいたけど、心の中は穏やかじゃないはず。
遠浅の海水浴場なので、歩き進むと少しずつ深くなっていく。
海水が膝ぐらいの深さまで進んで、お互いに立ち止まる。
でも、波があるのでけっこうな深さがあるように私は思ってしまう。
その場で立ち止まっていると、真央の手から力が抜けていくように感じられた……



