覚悟を決めた夏、あの空の向こうに



「海や水が怖いけど、トラウマを克服したい……そうだよね……」


 真央は振り返らないで私に背中を見せたまま、首を縦に振って頷いた。


「溺れた時のことを思い出すんだよね……今でも……」


 握りこぶしにした両手に力を込め、なんども深く頷いてる。

 肩を振るわせながら思い悩む妹に、私は優しく声をかけた。


「一人で思いつめないで、今は私もいるよ……」


 サンゴダストの白い砂浜を、私はゆっくりと歩きだす。

 素足に冷たい感触がつたわってきて、ひんやりとする。


 長い黒髪を右手でかき上げ、真央の横へ静かにならんで立つ。

 私は妹と視線を合わせず、まっすぐに海の水平線を見つめる。


「真央……」


 私は、妹の名前を小声でつぶやきながら手をつないだ。

 力強く、私はしっかり妹の手をつかむ。

 その行動に答えたのか、真央も私の手を握り返してきた。



「……」