覚悟を決めた夏、あの空の向こうに



 たまに、発作のような感じで暴れながら苦しんでるようだ。


「きっと、溺れてる時のことを夢の中で見てるのかな、息苦しそうにしてるから……何もできなくてごめんなさいね」


 その言葉を聞いて、私は心から思ったよ。

 律子さんが真央の側にいてくれて良かった。


「声の出ない妹をささえてくれて、ありがとう」


「やめてくださいよ美央ちゃん、また泣かせるつもり」


 私と律子さんは、おたがいに顔を見合わせ頷きあう。

 その時、異変がおこってしまう。

 息を荒げて苦しんでいた真央が、とつぜん目を覚ました。


 かけ布団を放り投げたと思ったら急に立ち上がり、息づかいも荒い。

 私と律子さんに目を合わさず、肩で大きく呼吸をしている。

 うつむいて前髪に隠れた妹の顔の表情が見えないので、心配になって声をかけた。



「ちょっと、だい……」



「…………!」



 だいじょうぶ、と言いかけた私の言葉を、真央は途中で遮るように首を左右に何度も振った。



 ――次の瞬間!