覚悟を決めた夏、あの空の向こうに



 お医者様が言うには、精神的なものからだという。

 大好きだった母と姉から、はなれて暮らすさびしさ。

 海中に引きずり込まれ、くるしみの中で溺れた恐怖、その衝撃は本人でないと分からない。


 その時のトラウマのせいなのか、海には入れない体になっていた。

 それだけではない、お湯の溜まった浴槽に肩まで浸かるなんてぜったいにムリみたい。

 だから、シャワーをつかって体を洗っているとのこと。

 水を入れた洗面器に、顔をつけることさえできないと聞かされた。


「私が島から、はなれてるあいだにそんなことが……」


 あふれ出る涙が、頬をつたって床にポトポト落ちていく。

 私は手の甲で、なんども涙をぬぐう。

 横に座っていた律子さんも、肩を振わせながら涙を流していた。


 お風呂から上がってきた真央は、異様な光景を目にして顔を引き吊らせる。

 私と律子さんが、二人そろって大泣きしているのだから……


 この日の夜、私は真央の布団に潜り込んで一緒に寝ることにした。

 妹と私は体型が同じなので、短いハーフパンツとシャツを借りて就寝。



 私は真央に背後から抱き付いたまま、深い眠りについた……